テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

FIFAワールドカップ 2006-06-26

 試合は、押し込まれる場面の多かった日本は前半予想外のリードを奪った。後半に入ると、攻撃の鋭さを増したブラジルが一気に加点していった。53分、ジュニーニョ・ペルナンブカーノの強烈なミドルシュートで勝ち越すと、その6分後には左サイドを上がったジウベルトのシュートで3点目。81分には、日本ゴール前でパスをつなぎ、最後はロナウドが記念のゴールを決めた。

 この試合によって、日本がブラジルに逆転負けし、FIFAワールドカップ・ドイツ大会からの敗退が決まった。

 私は普段サッカーを見ないのですが、4年に一度ワールドカップには愛国心に火がつきます。しかしながらグループ敗退。その結果により、私を含め周りの友人達も肩を落としている最中、ふと報道に注目すると以前までW杯の勢いある報道が落ち着いたように感じました。勿論、敗退という結果に対して世の中がショックを引きずっている時期であり、報道側も視聴者側を考えて、の事なのかもしれませんが、果たしてどうなのだろうと疑問に思いました。
 自国の試合はやはり熱くなるもので、力を入れて欲しいと思うものの、自分の国の試合結果が分かるとその熱が途端に冷めてしまう、そして今度はまた4年後のW杯の総監督についての報道で熱くなっているように感じます。                     
 このような報道を通して私は自分の国しか考えない、自分主義の様に感じ、だからこそ、もっと他の国の試合に興味を沸かせる報道をして欲しいと思いました。他国を知る事で、W杯をもっと楽しめるのではないかと思います。

 余談になりますが、先日、電車の車内で高校生くらいの女の子2人が「日本ダメだよねー。CM見ても前ほど騒がなくなったし」「あーやってるよね。あんまり見たいとも思わないけど」このような会話を耳にしました。報道によって(例えば最後の選手のインタビューなど)関心が薄れ、そのように視聴者側のCM価値も変化していくのだろうなと考えた時に、W杯そのものでなくサッカー選手をアイドル化して注目している視聴者もいるのだという事に改めて気付かされました。
                                                【山口 乃絵】
《番組データ》「スタ☆メン」フジテレビ系 日曜22時~
  司会者 爆笑問題 阿川佐和子 


コメント

山口さん、私も同感です。
 日本でサッカーが広く浸透するようになったのは、ちょうど今の多くの大学生さんが生まれるちょっと前くらいに漫画で流行り、アニメ化もされた「キャプテン翼」がきっかけだと思います(多くの学生さんはリメイク版「キャプテン翼J」は御覧になったと思うのですが)。それ以前からトヨタカップとかはありましたが。
 キャプテン翼は日本の舞台から始まったのですが、ちゃんとサッカーの名門ブラジルという視点を忘れてはいませんでした。ところがJリーグ発足(1993年)直後のワールドカップ予選は「どこが出てくるか」ではなく「日本ガンバレ」一色となりました。本戦も、民放こそ契約の終了後だったため中継はありませんでしたが、既に日本中心主義でした。そりゃ、1990年(私はこの時点で学生でした)の西ドイツ大会なんて話題にもなりませんでしたから、盛り上げようとするには日本中心でいったほうが手っ取り早いという判断が働いたのでしょうけど、日本の実力を考えれば日本が早々に敗退した時点で関心が萎えてしまいますから、結果的に山口さんのおっしゃる「自分主義」になってしまうんですね。
 日本にはテレビ東京ほかで長く「ダイヤモンドサッカー」という番組がありました(一部地域では名称が異なる)。ヨーロッパのリーグ戦を最初45分間、後に30分間の中継を毎週やる番組で、見ていれば目が肥えたであろうと思います。そうそう、高校サッカーもずっとやってます。こうした土壌をなぜ生かさなかったのでしょうか。

サポーター

>ヨーロッパのリーグ戦を最初45分間、後に30分間の中継を毎週やる番組で、見ていれば目が肥えたであろうと思います。

 かじかさんのおっしゃる「ダイヤモンドサッカー」という番組を拝見した事ないのですが(すみません)、調べてみた所、他国のサッカーを中継すると共にサッカーの言葉やルールなど知識を視聴者に伝えるような番組内容であったみたいですね。
 そのような内容の番組がある事で今で言うサポーターは、他国のサッカー背景などを知ってますます心から応援したくなったんだろうなぁ、と思います。

>そうそう、高校サッカーもずっとやってます。こうした土壌をなぜ生かさなかったのでしょうか。

 私は報道側が視聴者はほぼ野球に持っていかれていると思っているからなのかな、と思います。それに伴う視聴者と選手達の距離感の違いとか。

 例えば、松井選手など野球という背景に関係なく、日本の英雄として世の中に知られているけれど、サッカーでは松井選手に並ぶような英雄がいないのでは・・と思います。
 だから、そのような英雄をつくりだそうと他国の背景やサポーターの様子を伝えるものもなく、ただ自国の試合を盛り上げよう。日本は負けない!強いんだ!選手と監督を筆頭に頑張るぞ!的な報道をしたのではないかなぁと。
 サポーターのように応援する側にサッカーをもっと理解してもらえるような報道をして欲しいと思いますが、W杯が始まる前から「日本は強い!勝つぞ」という報道によって視聴者に期待を持たせ、選手の応援に熱が入る。
そうして前述したその選手を起用したCMなども価値が上がる、サッカーというフィールドでなく選手そのものに関心が向くように、野球でいう松井選手のような英雄を生み出そうとした結果、こうした報道のあり方になったのかなぁと思います。

まとまりのない文章ですみません。

「三菱ダイヤモンド・サッカー」は……

> 他国のサッカーを中継すると共にサッカーの言葉やルールなど知識を視聴者に伝えるような番組内容であったみたいですね。

そんな側面もあったが、東京12チャンネル「三菱ダイヤモンド・サッカー」は初心者むけの番組ではないです。子どもの頃、毎週楽しみに見ていましたが、イギリス(主として)のサッカー(BBC収録)を、名アナ金子勝彦が岡野俊一郎の解説つきで伝えた。アナウンスも解説も、今回のW杯中継の平均より、はるかにレベルが高かったと思う。もちろん視聴者のレベルも(数はムチャクチャ少なかったが)。前半だけで終わっちゃって、後半見るのに1週間待ったんですよ! この番組以外、サッカー番組といえるものはなかったのよ。

つまり、それだけサッカーがマイナーだったってことね。74年ドイツ大会は確かNHKが深夜に生中継して、私は見たけれども、そんなものを付き合って見ようという家族はいなかった。皇帝ベッケンバウアー、左足のオベラート、爆撃機ゲルト・ミュラーの西ドイツが、ヨハン・クライフのオランダと決勝を闘った、サッカー史に残る試合でしたが。

ようするにテレビは社会の鏡であり、視聴者大衆の興味や関心が先にあって、それを後追いするものだ、ということです(興味も関心もないときに、優れた番組が一つ二つあっても、視聴者大衆を動かすことはない)。なぜそうなるかといえば、民放テレビが視聴者数が最大になるとき最大の利益を得るというビジネスモデルであり、そのモデルを採用していないはずのNHKが民放テレビをまねしているからでしょう。

山口乃絵さんへ

番組データを必ず書いてください。

はい!

坂本先生>すみません。先ほど修正しました!

飛行機事故と同じように・・・。

山口さんが記事の中で書かれていた「自分の国しか考えない、自分主義の様に感じ」と言う事には、よく飛行機事故などにもあると言われているものと同じではないでしょうか?
飛行機が墜落する→日本人が怪我人に含まれて居ないか報道を始める。

確かに私も始めは、このような報道に疑問を抱いていました。事故が起こった事自体が大変な事なのに、日本人の心配だけしているニュース番組って・・・。しかし考えてみると、この国で「日本人に怪我人がいたのか、どうだったのか」はこの国の中では大切な情報のように思えます。ちょっと話がずれた感じもしますが・・・。

視聴者が求めている情報を流すのがテレビであり、日本以外の国のサッカーに興味が無い人が沢山いる現在では、仕方がないことだとも思えます。しかし、テレビ側にも、もっと視聴者をひきつけさせる努力もするべきだと思います。最近では「海外のイケメン選手」なんて報道もかなり増えましたが・・・。見方はミーハーですが、良い傾向だと思います。・・・駄目ですか?

世界で楽しむ

今回のワールドカップ、日本は残念ながら負けてしまいましたが、どこかの番組でこのようなことを言ってました。


 ワールドカップは自分の国を応援するのもいいが、世界の祭りとして盛り上がるのもいい。

私はこれを聞いて、なるほどナーと思いました。日本だけじゃなく、世界中で自分の国を応援する人が多いのだけど、政治背景がからんで、サッカーの勝敗で街で争いが起きたりすることは、とても残念なことに感じます。
ワールドカップ、四年に一回しかない世界の祭りとして、いろんな国の人たちが仲良く楽しく参加できたら、どんなに幸せなことか・・・と思います。

森さん>
>「日本人に怪我人がいたのか、どうだったのか」はこの国の中では大切な情報のように思えます。
確かに島国である日本特有の考えというか、それは日本独特の視点からの報道であるように感じるので大切な情報なのかもしれないと私も思います。
>見方はミーハーですが、良い傾向だと思います。
共感です。でも明らかに女性をターゲットとした報道のあり方ですよね。私も実際にそのような報道を目にしてミーハーながらピクリと反応してしまいましたし(笑)
そういった視点から興味を持ってサッカーそのものを好きになってくれる視聴者が増える可能性もあると思いますし私も良い傾向なのかなと思います。

高畑さん>そうですよね。こんなに人々に影響を与える、国民にとっての大イベント、”自国が敗退したからもういい”というのでなく、視野を広げられたらきっともっと楽しめるのだろうなと思います。個人的に4年に一度なのに最後まで楽しまなければもったいないとも思ってしまいます・・かなり主観的な考えですが。。

日本人の心配だけしているニュース番組って・・・。

> この国で「日本人に怪我人がいたのか、どうだったのか」はこの国の中では大切な情報(森 智徒勢さん)

それはそうだ。しかし、日本人が30人死に、同時に、そんなことよりはるかに重大で深刻な事件が起こっているならば、日本人の安否など放っておいても、そちらを伝えるべきでしょう。日本のメディアで、それができていなかった例が以下。山口さんが書いたことをもっとハッキリいえば「狭隘な(せこい)島国根性」が全面に出た報道。

****************************

同時多発テロで露呈した、お粗末な速報体制。
テレビのレベルは中学生以下?

●「映画みたい」どころじゃない。「映画など足元にも及ばない、ものすごい映像」でした。家族4人で見ていたドラマに速報テロップが出たので他局を探したら、NHKが生中継を始め、以後2台のテレビを(1台の音声は片耳イヤホンで)朝まで見続けました。全世界に「テレビの力」を見せつけた歴史的な大事件ですが、日本のテレビのお粗末な緊急速報体制に、私はあきれ果てています。

●NHK(映像は米ABC)で2機目の突入の瞬間をナマで見た直後、テレ朝は「小型飛行機が」という字幕つきで報道。これを見た中2の息子は「バカじゃないの? ビルの大きさと比べて全然小さくない。形も旅客機じゃん」と断言。しばらくすると、NHKに低層の建物から煙が上がる映像が流れた。私が「こりゃペンタゴンだ。ヤバイ、戦争だ」と叫び、中1の娘が「テロだね。日本はどうなるの?」と心配そうに聞いた瞬間、「これは、どこの映像でしょうか?」とNHKニュースのアナ。もう、私はシビレました。

●そのうち私の母親から「見ているか」と電話が入ったので、「これは戦争」「全世界の米軍は臨戦態勢に入ったはず」「死者は万単位」「明日は暴落だ」などと話しました。そのとき、70すぎのお婆さんである母親は、「NHKのアメリカ総局長というのは、どういう人? ひどいもんだね」という。私も「画面で見る限り、アナでも記者でもないだろう」と苦笑せざるをえませんでした。

●その後、テレビはかなりの間、「戦争に直結する大事件を中継している」という自覚がないまま、「邦人が心配」などとズレまくっていました。中学生や70すぎの視聴者にすら「バカだ」「おかしい」とわかる報道って、恥ずかしいと思いませんか?(「GALAC」2001年11月号)

****************************

ようは「バランス」の問題。ある事件が起こったとき、その事件だけを見ると同時に、これは全地球、全日本、全世代、全××規模で見たとき、どんな位置づけになるか、という視点が必要だ。××は、「日本の金融政策全体」だったり「日本の教育」だったり「ニートというもの」だったりする。事件の重さや意味を測る「てんびん」を、報道する者はつねに持っていなければダメなのだ。

それは「大局観」といってもいいね。将棋で「飛車を成り込まれ、桂馬を取られちゃった。大変だ」と騒ぐのではなくて、局面全体を見回し、そのことを代償に別の方面で敵の王様に肉迫すればいいんだね。

問題の一つは、事件をキリキリ追いかけている現場の記者に、そんな大局観など考慮するヒマはないということ。戦争と一緒だ。最前線の兵士は、「あのトーチカ(コンクリで固めた防御陣地)をどうやっつけるか」しか考えない。それはそれでいい。大局観が必要なのは、ちょっと後方にいる司令官。報道でいえばニュース番組の編集長、番組プロデューサーなんかです。その連中の「てんびん」がイカレていて、「大局観」も欠如していると、しょうもないニュースが連発されてしまう。

もう一つの問題は、「部分はつねに全体より華々しい」とでもいうかね。「若者の親殺し」のほうが、「日本全体の親と若者の関係にヒタヒタと起こっている変化」なんてものよりも、断然ハデで、ある意味ではるかに「おもしろい」。だから視聴者も制作者も、そちらに引きずられてしまう。

畠山鈴香の映像は「おもしろい」でしょ。2Hドラマより全然おもしろいわけだ。実際に起こってるんだから。

判断基準

外国の公共交通機関の事故については、昔イエモンも歌にしてましたが、被害が大きかったり経済や政治への影響が大きかったりする場合に大きく報じる場合、日本人の情報を伝えることは必要は必要でしょうけど割合を大きくしないことが肝要なのだと思います。言い換えれば、事故を小さく扱うとき、たとえ日本人情報が一言だけになってもシェアが大きくみえるかもしれませんが、これはしょうがないですね。この点は坂本先生と同じ意見かと思います。

高畑さん、同じことはオリンピックについてもいえると思います。というか、五輪やW杯のような「日本の参加する世界的スポーツイベント」=「日本ガンバレ」という構図の刷り込みがされていること自体、おかしいと私は思います。

余談ですが9・11のとき、いつもテレビ東京から番組を供給されていながらニュースは一本もネットしていない独立U・三重テレビも、一報のあった夜にテレビ東京の特番(いつものWBSの時間)を同時ネットしていました。三重の編成担当が決断しないとこういうことはできないはずで、三重の担当はコトの重大さを認識していたようですね。

書き方が悪かったかもしれません・・・。

坂本先生が「重大で深刻な事件が起こっているならば、日本人の安否など放っておいても、そちらを伝えるべきでしょう。」と同時多発テロの事について書かれていましたが、その意見には賛成と言うよりも当然だと思います。同時多発テロの映像は私もリアルタイムで見ていましたが、あれは「日本人死傷者がどうこう」言うようなレベルのものではないと思います。
事件のウェイトがどのぐらいなものなのかで、伝え方は変わってくると思いますが、飛行機事故の中には30秒も流れないニュースもあります。その場合には、日本人の安否等を一行入れても構わないのではないかと感じました。それを上のコメントで書きました。言葉足らずですいません。

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●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)