テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

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開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

高齢者・障害者・一人暮らしとテレビ(テレビは必要か、テレビは彼らに応えているか) 2011-11-18

【高齢者とテレビ】

●高齢者とは

・世界保健機関 (WHO) の定義では「65歳以上の人」。
・2010年9月15日の65歳以上人口推計は2944万人(19日総務省発表)。
・80歳以上は827万人で、愛知県736万より多く大阪府881万に迫る。
・高齢化率は1935年4.7%(21人に1人)、2007年21.5%(5人に1人)、2010年23.1%(ほぼ4人に1人)。

●高齢者むけの番組は多い・少ない? 高齢者は満足している?

・少ない。とりわけ民放プライムは皆無に近い。
・高齢者は若者むけ番組を、とくに不満もなく見ている(学生A)
・高齢者は見るべき番組が少なく、テレビに不満を抱いている(学生B、坂本)

●なぜ、高齢者むけ番組が少ないか?

・テレビの「ビジネスモデル」による。民放のビジネスモデルは「視聴者が最大のとき、売上高が最大」しかも「その視聴者はテレビ広告の対象である」との条件付き。
・高齢者の数は多いが、広告の対象ではない→高齢者むけ番組のスポンサーがつかない→高齢者むけ番組が作られない。
・広告の対象ではない例
 そもそも高齢者は退職者で、年収が低い(年金暮らし)→物を買わない。
 そもそも高齢者は最近目立つ広告(携帯、携帯ゲーム、ゲーム機など)の対象ではない。
 高齢者が車を買う場合は、20~30年前からトヨタ車、日産車、ホンダ車と決めている→広告効果なし。
 高齢者の大部分は家を買わない。すでに持っているか、一生借家住まいか→広告効果なし。
・ビジネスモデルが民放と異なるNHKは、実は高齢者番組を作ることができる
 →高齢者は受信料を払っており、受信料を取りたいのは若者層→若者番組に傾斜→高齢者番組を作らない。

特集 年寄りをナメるな!テレビ [座談会] 見る番組がない!時をムダにしたくない(『GALAC』1998年10月号/No.17)

地デジが高齢者を切り捨てた件(地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのブログ)


【障害者とテレビ】

●障害者とは

・障害者基本法(第2条)の定義では、「身体障がい、知的障がい又は精神障がい(以下「障がい」と総称する)があるため長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」。
・全国の在宅身体障害者数(2006年7月1日現在)は、348万3000人と推計。平成18年身体障害児・者実態調査結果(2008年3月 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課)による。

●障害者むけの番組は少ない。

・障害者の数が少なく、テレビのビジネスモデルにマッチしないため。
・少数者により深く情報を提供できるのは専門放送(CS、CATVなど)やネット。
・障害者は一般に就労に制限があるうえに医療費負担が重く、可処分所得が少ないと思われ、有料放送である専門放送は障害者を顧客と見なしていない(ディスカバリーチャンネルには障害者を扱うすばらしい番組があるが、海外製)。ネットは発展途上で、障害者には使い勝手が悪すぎる。

地デジが障害者を切り捨てた件(当ブログ「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求める記者会見3月4日参院議員会館★全映像★ 視覚障害者の発言を聞け)


【一人暮らしとテレビ】

●一人暮らしとは

・1人暮らしの世帯(単身世帯)数は1588万5000世帯。全世帯数5092万8000世帯の32.1%。3割超は初。10年10月国勢調査の抽出速報結果(総務省2011年6月29日発表による)。
・なお、1世帯当たり人数は過去最少の2.46人。世帯数は増え、世帯当たりの人数は減っている。
・単身世帯は多様。高齢者独居世帯は400万世帯以上。ほかに単身赴任者、未婚者や若者、学生、外国人などさまざまで、テレビとの関連をひとくくりに論じることはできない。
・ただし、一人暮らしの人は「寂しい」との理由からテレビを長時間つけておく傾向が強い(学生B)。
・高齢の一人暮らしはとくに、足腰が弱く外出するのがおっくう、趣味が少ない、新しいことを覚えるのがおっくう、目も悪く書物も敬遠しがち、などの理由から、テレビを友とも家族ともしている人が少なくない。そんな人々をテレビが切り捨てているのは大問題。


【ブログup時に追加】

・以上のような問題は、編集者や取材者に手がかりが少ない(周囲に年寄りや障害者がいない)、編集者や取材者に想像力がない、取材が面倒くさい(テレビ局に行っても「やってない」という以上の情報をもらえない)、共感を得る人が少ない(年寄りや障害者が読者対象ではない)などの理由により、新聞・雑誌・ネットで取り上げられることはほとんどない。
・若者たちが集う巨大掲示板でも、こんな問題が論じられることはあまりない。
・メディアが取り上げないと、問題が存在しないも同然なのは、原発問題などと同じ。

【坂本 衛】

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●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)