テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

新聞を読んでテレビ報道を考える 2006-06-14

こんばんは。
昨日から引き続きワールドカップの話を書きたいと思います。毎日新聞(11日)を読んでいて興味深い記事を見つけました。

 イランのアフマディネジャド大統領の「ドイツへ応援に行きたい」という発言に対し、ドイツ国内で反発の声があっているというものです。
 アフマディネジャド大統領は代表チームのシュート練習に飛び入り参加するほどサッカー好きで知られています。しかし大統領は核開発問題での強硬姿勢に加え「イスラエルを地図から消滅すべきだ」「ホロコースト(ユダヤ人虐殺)は神話だった」などの発言で物議を醸しているのです。ドイツのユダヤ人中央評議会議長は同大統領を「第2のヒトラー」と呼び入国阻止を訴えたそうです。
 テレビ報道では監督や選手のことについて取り上げているものが多いと思います。ワールドカップの背景にこういった政治的な絡み、国と国との溝が浮き彫りになるというのはテレビではあまりないことだなと思いました。
 11日のイランの初戦で強豪メキシコに勝てば決勝トーナメントに向け弾みがつき、試合の行方が注目されていました。
 私はこのことを念頭におき、イラン対メキシコ戦を見たのですが、結果は1対3のメキシコの勝利で終りました。その後もテレビでニュースを見たりしましたが、このアフマディネジャド大統領について一切触れるコメントなどはありませんでした。試合中も同様でした。
新聞はサッカーをスポーツ以上の領域で政治のことなどを取り上げていましたが、テレビ報道は、スポーツという真剣勝負と捉えているからだと見ていて感じました。
視聴者を気にするあまり、表面的な報道しかしないと感じていたテレビ報道に私は疑問を持っていましたが、今回のワールドカップに関しての報道は、サッカーをスポーツとして見るという点においては、良いと思いました。

         【十河亜弥】


コメント

スポーツはエンターテインメント?

確かに、新聞では国際面・政治面にもW杯関連のニュースが出てきますが、テレビ報道では政治に絡めた報道はあまり見かけませんね。
今まであまり新聞とテレビの報道の違いについて深く考えたことがなかったので、十河さんの意見は新鮮でした。

ただ、テレビはスポーツを「真剣勝負」というよりそれも含めて「エンターテインメント」として捉えているのではないでしょうか。
エンターテインメントに政治の話が絡んできたら、視聴者も面白くないと思うだろう、と考えて報道しないんじゃないかと私は思いました。

しかしW杯に浮かれるだけでなく、こうした政治的背景も私たちはきちんと知っておくべきですね。知ってから試合を見るのと知らないで見るのでは見方も変わってきますし。反省します。

確かNHKだったと思いますが…

>ワールドカップの背景にこういった政治的な絡み、国と国との溝が浮き彫りになるというのはテレビではあまりないことだなと思いました。

何日か前、確かNHKでこの問題は大きく時間をとって取り上げていましたよ(NHKじゃなかったらごめんなさい、でもテレビで見たのは間違いないです)。政治的な対立を理由に親善試合を直前になって拒否されるなど、調整に難航しているという内容でした。

ただ試合中にそういう話をしないのは当然だと思います。「おっとイランの10番がボールを持った、この人はイランサッカー史における英雄、そして核開発を強硬に推し進めるアフマディネジャド大統領のお気に入りです!」とか、そんな放送見たくないですし、恐らく選手も嫌でしょう(ちなみにイランの10番はアリ・ダエイね)。なので、少なくとも中継している間は政治的なことは抜きにしていいのではないでしょうか。

---完全に余談---
アフマディネジャドで思い出しました。中継で、実況が難しい名前を何回噛むか聞いているのも結構面白いですよ

情報の取捨

大統領の件は、私も初めて知りました。
やはり情報源がテレビだけでは、真実は見えづらいようですね。
新聞が報道しているということは、少なからずテレビ局にも情報は入ってきているはずだと思います(親会社が新聞社の局もありますし)。それでもニュースに流そうという気配がなかったのは、やはり誰かがその情報を捨てたということになります。
どれを使い、どれを捨てるのか…判断は難しそうですね。迅速な対応を強いられるテレビ放送ですが、勝った負けたというニュースばかり流してると視聴者に足元をすくわれてしまうんではないかと思ってしまいます。

W杯の熱

W杯の政治的な背景について、私も初めて知りました。
もし、多くのテレビ局がこのことを大きく報じたとしても
W杯はW杯でいいじゃん、政治的なことは二の次で。
という声が視聴者から聞こえてきそうです。
W杯の特集を組む時、政治的な話を絡めるとW杯の熱が一気に下がると思います。
W杯関係の特集を組むなら、W杯のヒートアップした熱を下げないような話題を報道することが視聴率アップにもつながるのではないでしょうか。

国際問題の常識(学生諸君むけ)

イラン大統領アフマディネジャドは、在テヘラン米大使館占拠事件(1979年、イラン学生らが米外交官ら数十人を人質に。これで米イ断交。100年前なら戦争!)に関与した学生の一人だった、という説(本人は否定)があるのは知ってる? 1年ほど前、イラン新大統領が決まったとき日本の新聞も書いた話だね。

2002年ブッシュが一般教書演説で、イラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しのうえ批判したこと、ブッシュはこのうち一つを戦争によって叩き潰したことも知っていますね? 大丈夫ね?

今回はイランもアメリカも予選敗退かと思うが、万一W杯決勝がイラン─アメリカだったら(可能性はゼロではない)、そりゃそっち方面のことをテレビも新聞も試合前にガンガン流すだろうね。

むろん試合中継中は、ヤメが吉。北朝鮮戦で「おおっとお! ついに出ました! ノドン2号を思わせる長距離シュートでゴ~~~ル!」なんてシャレにならん。

この件については、新聞の国際政治面を読め。ミサイル発射の兆候に対し、日本を含む主要国がこぞって、国によっては必死に「発射を回避せよ」とのメッセージを送り続けている。発射したら、それは北朝鮮による「平壌宣言」の破棄であり、小泉訪朝の大失敗の確定を意味する。それは小泉外交の評価を地に落としめ、ポスト小泉に影響する。1週間は朝鮮半島から目を離すな。

(↑新聞からは、そのような状況とは読み取れない? それも不思議はないですよ。93~94年に、クリントンが北朝鮮攻撃を検討した「朝鮮半島危機」があった。全世界が緊張したが、当時の日本の新聞・テレビをひっくり返してみなさい。それらしい話は、ほとんど載っていないからね)

サッカーが引き金になって実際に戦争が始まった例がある(誰か調べてカキコ4649)し、82年フォークランド紛争のあと86年W杯のアルゼンチン─イングランド戦(これは、それぞれが大陸トップクラスなので、当たる可能性が大きいわけだ)も因縁対決として名高い。マラドーナの「神の手」ゴールが出た試合よ。

韓国における今回の日本─オーストリア戦の視聴率は50%だかで、みんな熱狂的に大喜びしたらしい。これも、サッカーのニュースではなくて、政治・社会面のニュースです。

というわけで、いろいろ目配りするとおもしろい。そこでひとつサイトをご紹介。中東報道研究機関メムリ(MEMRI)
http://memri.jp/

日本の新聞が書かない、さまざまな中東の動きがわかる。

諸君の先輩・綿井健陽も読んでいる!

このブログは、諸君の先輩・綿井健陽も読んでいる!

綿井健陽のチクチクPRESS
「メディア制裁システム」と題した記事をご参照

http://blog.so-net.ne.jp/watai/2006-06-08

アジアプレスの綿井さんは知っているね。イラク戦争でバクダッドから巨大マスコミがすたこら逃げ出したとき、踏みとどまった数少ない日本人ジャーナリストの一人。同じ日の夜、TBSとテレビ朝日の看板ニュースに、綿井健陽のレポートが流れたことがある。

まったくもってありがたいことです。

テレビでの放送

部外者01さん
>>何日か前、確かNHKでこの問題は大きく時間をとって取り上げていましたよ(NHKじゃなかったらごめんなさい、でもテレビで見たのは間違いないです)

6/11(日) 18:10~ NHK海外ネットワーク
この番組内で取り上げられていました。

Re:テレビでの放送

そうでしたか!
ほっとしました。情報感謝です。

スポーツと政治背景の絡み

私は、スポーツは勝ち負けがあるから(引き分けもありますが。)国と国との対立を連想させやすいのだと思います。
視聴率はむしろ政治背景と関係しているほうがあがると思います。どちらが勝つか興味深いし、観客も熱くなると思います。


                  高畑 匠子

W杯の政治的背景

大統領の件、初めて知りました。
新聞 =お金を払って受け取る情報
テレビ=お金を払わなくても無意識に受け取る情報
であるからこそ、テレビでは政治的背景に触れずに
報道してるのではないかと思います。

新聞よりもテレビは、より大衆を対象とするものであるから
それだけ視聴者に与える影響を考えなければならない、
W杯のテレビ報道で熱くなった視聴者達に対して、
政治的背景からも報道してしまえば、それこそ争いが起こり
かねないのでは・・
視聴者がただ楽しんで見る
>「エンターテインメント」として捉えているから
の神田さんの意見に私も同感です。

タイミング

北朝鮮がこの時期にミサイルの発射実験をしようというのは偶然ではなく、W杯に目が行っている間を狙ったとも考えられますね。
なので、中にはW杯よりも大きくこうした問題を取り上げるメディアも必要でしょう。(中継中までは必要ないですが)

▼ コメントをどうぞ!! すぐ上(既存コメントの末尾)に追加します。

表紙(最新ページ)へ

月めくり

≪≪ 2017-05 ≫≫
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

年月別の記事

内容別の記事

3.11巨大地震発生から

最近の記事10

最近のコメント10

主宰者から

日本大学藝術学部放送学科

●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)