テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

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開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

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エレベーター事故報道について 2006-06-08

今日、「秋田県小1殺人事件で逮捕された容疑者が殺害についても前面自供した」というニュースが流れました。明日からは徐々にこの事件に関する報道も減ってくるのではないかと、私は考えています。
同じテーマの報道検証を毎日書く難しさを痛感している今日この頃ですが、気分転換に一度、秋田小1殺人事件の報道についてはお休みして、エレベーター事故の報道について書きたいと思います。

この事件も大きく報道されているので皆さんご存知だと思いますが、今月3日に東京都のマンションで高校生がエレベーターに挟まれ死亡した事故がありました。昨日には、警視庁がこのエレベーターを製造していたシンドラー社を家宅捜索しました。今日はテレビ朝日の『報道STATION』を見てみました。

毎日朝から晩までこのニュースが報道されています。以下が概要です。
・事故のあったエレベーターでは3年間で40件以上の不具合があった。
・今回事故のあったエレベーターだけではなく、全国に設置されているシンドラー社のエレベーターに沢山の不具合が見つかっている。
・日本だけでなく、海外でも死亡事故が多発している。

どこの報道番組も同じですが、日を追うごとにシンドラー社製のエレベーターの不具合の件数が増えていっています。しかし今回、報道ステーションでは、シンドラー社製のエレベーターの不具合だけでなく、他社で起きたエレベーターの事故についても、2件触れていました。それを通じて「どうしてこの教訓が生かされなかったのだろう」と伝えていました。

ここで私が注目したのは「教訓が生かされなかった」ことではなく、他社のエレベーターの事故についても触れていた点です。この事件が報道され始めた時から思っていたのですが、一体エレベーター事故の数の基準はどこにあるのか?シンドラー社の事故の件数が異常に多いのは分ったが、じゃあ他の事故の基準はどこにあるのか?そもそもエレベーターはどのぐらいの頻度で点検しなくてはいけないのか?等々・・・。

普段報道されないものだからこそ、そこで起きた事件についてだけ報道するのではなく、もっと突っ込んだ報道が必要な気がします。そして、一体何を基準にして事故が多いといえるのか?(今回のエレベーターの不具合は件数が多い気はしますが。)その基準も伝える事も必要なのじゃないでしょうか?

《番組データ》
番組名/報道STATION テレビ朝日系/月曜~金曜21:54~放映/司会 古館伊知郎・河野明子・加藤千洋・他/

【森 智徒勢】

コメント

何かあってから、はじまる...。

今回このような事故があって、初めて世間(とマスコミ)の目が
『エレベーター事故』に集まったわけです。

これを機会にエレベーター事故に関する調査・報道を徹底的にやって欲しい。願わなくとも、マスコミは初めてくれていますがね。
今後、森さんが気にしている事故の基準なども報じられてくると思いますよ。
こういう時、マスコミは頼もしいです。

そう思う一方で、毎度 調査の始まりが「事件後」であることに、哀しさを感じずにはいられません。

 確かにこの機会を利用して、もう少し掘り下げた報道をして欲しい、私もそう思います。

 「教訓が生かされなかったのだろう」で終わっては一般視聴者止まりですよね。私が見た報道番組は、シンドラー社とそのメンテナンスを行っていた会社の責任の押し付け合いのように感じられました。
 どちらが悪い、という問題の前に(人々にあまり知られていないと思われる)メンテナンスを行う会社とはどこまでが仕事の範囲なのか明確にして欲しいと思いました。
 森さんの言うように、何を基準にして事故が多いといえるのか。今まであまり公にならなかったエレベーター事故についてより理解を深めていくような報道をして欲しいです。
 なんだか今の時点でこういった事件があったという事実のみ知っているだけで、知識がないので事件について深く考えられない状態です。

日本の報道

確かに村瀬さんの言うように

>調査の始まりが「事件後」であることに、哀しさを感じずにはいられません。

ここはとても共感できます。 前々からシンドラー社のエレベーターに不具合が多く見つかっていたなら、報道の力で何かしらの対処ができたのではないか?とどうしても思ってしまいます。
設置を解除とまではいかなくても、視聴者が予防、自分で注意することぐらいは出来たのでは…と。
しかし報道で流してしまえばきっと誰もシンドラー社のエレベーターには乗らなくなるでしょうね。
そこが難しいところです。
けれど不具合があったならば再度点検するとか、工事するとかシンドラー社が自ら進んでやるべきです。
”わかっていたのに”という事故や事件が多いなーと感じます。
警察と同じで何か事件が起こらないと報道も動けないものなのでしょうね。
それって意味あるのでしょうか?

調査報道力の衰退

> 警察と同じで何か事件が起こらないと報道も動けないものなのでしょうね。

基本的には,警察や行政が何も行動を起こさなかったから,メディアも取り上げてこなかった,というのが正しいのでは。あるいは「シンドラー被害者の会」のような市民運動組織もできず,訴訟も起こらなかったから。それは,メディアの調査報道能力の衰退を意味するのでしょう。

ところで,シンドラー社のメディア対応に対して,日に日にメディア側の反発が強まっているようです。でも,それは「社長が謝罪した」という「絵」を撮りたいという理由だけですよね。裁判対策を考えると,そう簡単に謝罪しないというのも,企業の危機管理としては一つの見識だと思うんですけどね。もちろん,日本のメディアと世論はバッシングするわけですが。

数よりも

事故の件数や基準よりも問題なのは、不具合報告があった時にその原因と解決策を明らかにしたのか、という点だと思います。それも日本規模(できれば世界規模)でなくては意味がありません。

一つの建物で不具合があったとしても「うちのエレベーター調子悪いなあ」としか思わないことも多いでしょう。今回インタビューを受けていた人も、多くは全国的に不具合が多発していることは想像していなかったはずです。

問題があった時に、ひとまず手近な管理者に連絡をするのは良いでしょう。しかし、それでも直らないのであれば広く情報を明らかにする必要があり、またそれをまとめる団体も必須です。例えば日本エレベータ協会がHPで公開するのも一つの手です。情報が広く公開されれば企業としても個々の事案を握りつぶすようなことは出来ず、自らの利益のために必ず動き始めます。

報道は、S社が悪いメンテが悪い、エレベータは怖いなどと恐怖心を植えつけるだけで終わらせるのではなく、全体としてフィードバック情報が共有され、きちんと対処される仕組みを作ることを提案するべきでしょう。そうでなければ、今回問題になった部分を除外するだけで安全だという誤解が生まれ、また同様の(あるいはまったく別の)事故が発生する確率を下げることができません。これは当然エレベーター業界でなくても同じです。

村瀬さんの
>調査の始まりが「事件後」であること
は、これによってだいぶ改善できると思います。

自分の無知さ

>なんだか今の時点でこういった事件があったという事実のみ知っているだけで、知識がないので事件について深く考えられない状態です。

山口さんの意見と同感です。
まったく知識がないために、1から報道されないと全く分りません。しかし、分らない事をそのまま報道されているのも、とても多い気がするのですが・・・。

みなさんが書かれた様に、マスコミに早くからリンクしていれば事故が防げたのではないか?とか、もっと前から話が出ていたのでは?と言うのは今回の事件だけではなく、例えばストーカーの事件などを見ていると、いつも思ってしまいます。
それは、マスコミが色好みといか、ワイドショー好きというか、そういう要素があるからだと思うのですが、マスコミに流せば簡単にテレビで取り上げてくれるものでしょうか?不思議になりまして・・・。

他のメーカーは匿名?

新聞報道の話で恐縮ですが,テレビも似たり寄ったり。
たとえばこの記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060613-00000245-mailo-l42
トラブル122件のうち58件がシンドラー製,ということは64件が他社製。164基中58基がシンドラーで106基が他社製。

確かにトラブル発生率は少しは高いけど,誤差の範囲。シンドラーだけが「実名」で,他のメーカーが「匿名(その他大勢)」という扱いがよくわかりません。

日本のメディアはいつまで「シンドラー・バッシング」をしていれば気が済むのでしょうか。おそらく,視聴者/読者の関心は,「日本製だからといって安心していいの?」に移っていると思いますが。

こっちに書いたほうがよかった

別のところに書いたことですが、「こっちに書いたほうがよかった」と思い直し、コピペさせてもらいます。書いた日付は、2006-06-13。なお、文中「トラブル件数だけ見れば」とあるのは、むろん機械そのもののトラブル発生確率の話であって、特定メーカーの保守管理がデタラメという可能性は考慮していない(そこに至る手前の話である)ことにご注意。

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それと、シンドラー社の謝罪の一件だが、これも「取り上げればいいってもんじゃない」という視点は必要です。三菱自動車の欠陥隠しが問題になったとき、三菱自動車が火を吹いたというニュースが盛んに流れた。以下は、当時(2004年夏頃)三菱の技術者の奥さん(実名も住所もわかっている)から坂本が受け取ったメール。

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三菱のことを、何か話すと「開き直るな」「反省していない」と言われますので、これはこの場だけの独り言です。
リコール隠しと隠蔽体質で事故が起こり、元社長まで逮捕されるという会社の経営のあり方については、弁解のしようがない最悪の組織だったと思います。
その上、何億も退職金もらって平気な顔をしているほんとの悪者には「金返せ!こっちはボーナスも出ないんだぞ!」と私は怒っています。

しかしその後続いている、三菱車火災については、あまりにも
報道が偏っているのではないか。

日本の車両火災は年間7000から8000件あるそうです(フジTVのワイドショーでも言っていました)。車両火災の割合は、各社の販売台数の割合とほぼ同じ。各社と取引をしている部品屋さんによると、三菱車の割合はむしろ低いぐらいだそうです。
しかし、今のような状況になると「またパジェロ炎上!」と、民放からNHKまでいっせいに流す。

石原親子は「走る凶器」と言い、中川氏は「国民は三菱のマークを見るだけで道を歩くのがこわいんだよ」という。
「民間のくせにつけあがるな」という嫌悪がむき出し。
報道も「燃えた燃えた」と、袋だたき。
車両火災の各社の割合はどのくらいなのか? ほんとうに三菱車だけが危ないのか? どこも報道しません。

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石原親子は、石原慎太郎と息子。中川氏は中川昭一。

いいね。日本で走っているクルマで走りながら出火したもののメーカーを調べると、トヨタ車がいちばん多い。なぜならトヨタ車がいちばん多く走っているから。でも、マスコミはその事実をほとんど報道しなかったわけ。

エレベータによる死亡事故、負傷事故、あるいはどちらにも至らないトラブルを、全メーカーについてきちんと調べた人はいないんですよ。そして、トラブル件数だけ見れば、日本でいちばん数多く使われているエレベータ製造メーカーのそれがいちばん多いことは、たぶん間違いないですよ。

「シンドラー社が、日本のビルにエレベータを供給しているメーカーの中でもっとも悪い」は、まだ、確定した事実でも何でもない。このことは踏まえなければダメ。ある意味、秋田小1殺人事件のマスコミ報道とと、似たところがあるともいえるね。

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●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)
 

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