テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

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開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

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本人や親、被害者側の責任は報道しなくていい? 2007-10-08

●テレビ報道でも新聞報道でも指摘できる大問題の一つは、何か事件や問題が起こったとき、組織(企業・役所・学校・病院・その他団体など)の責任や、それらがつくる現行制度の問題は指摘されるのに、その事件や問題の被害者となったふつうの人びとの責任が一切不問に付されていることです。思いつくままに例を挙げましょう。

◆神戸の私立高校生徒のいじめ自殺事件→学校はなぜ気づかなかったのかと追求されるが、親がなぜ気づかなかったかは報道されず、たぶん取材もしていない。私は、親が気づかないことを学校に気づいてくれと期待するほうが、どうかしていると思う。

◆乳母車が電車のドアに挟《はさ》まれ、そのまま発車してしまった事件→ホームに駅員が不在、車掌から見えにくかった、ドアは数センチのものを挟めば検知できるはずなどと報じられるが、閉まりかけたドアに乳母車を押して駆け込むバカ親の責任は一切報道されない。

◆エスカレーターの穴に指を挟まれ切断された事故→発生後2~3日は、国内の全エスカレーター全段に黄色い枠が描かれ、これを踏むなという注意アナウンスや掲示もしばしばなされており、黄色い枠の内側に足を置く限り事故は防げたはずという事実が、ほとんど報じられなかった。

◆妊婦を乗せた救急車が、受け入れを拒否する病院の間で「たらい回し」にされ、死産などにつながった事件→病院や産科医が少ない医療体制の不備は語られる。私は、かかりつけの医院がなぜ患者を受け入れないのか訝《いぶか》しく思っていたが、10月7日朝刊の中日新聞東京新聞で、受け入れを拒否される妊婦は、妊娠しているのにそもそも医者に一度も行っていないことが多い(8月に救急車内で死産した奈良県の妊婦もそうだった)と知った。妊娠に気づかなかった、受診するカネがなかったなど理由はさまざまでも、赤ん坊を死に至らしめた責任の一部が当の妊婦にあることは明らかだ。

◆古い家電製品が発火して焼死した事件→たとえば30年間使った扇風機が火を噴く場合、絶縁部品が経年変化によって劣化したという報道はあるが、ホコリやゴミが詰まっていたとは報道されない。テレビも煙を出したり火を噴くことがあり、部品の劣化や設計ミスが直接の原因になることもある。しかし、ユーザーが内部のホコリ・ゴミ掃除を怠ったことが発煙や発火の直接の原因になったり、それを広げる間接的な原因になるケースが、非常に多い。「5000円の扇風機の安全性についてメーカーに30年後まで責任を持て」と要求するのは、明らかに酷であり非現実的な話。社会通念上の耐用年数(まあ、いいところ10年。法定上は数年)を超過した製品の安全性は、使用者が第一義的に責任を負うべき。

◆一時盛んに報じられたシュレッダーによる幼児などの指切断事故→高い製品は、そもそも指が入りにくい設計にしてあるが、紙を入れて使う製品なのだから、絶対に隙間は必要。そして、幼児や赤ん坊の髪の毛の厚みは、紙の厚さと同等だから、シュレッダーに幼児や赤ん坊の身体の一部が挟まる事故は、原理的に避けることができない。だから、シュレッダーを幼児や赤ん坊がさわれるような環境に置く親はバカであり、子どもが事故にあえば当然、責任がある

●いくらでもありますね。時津風部屋はムチャクチャですが、週刊誌報道によれば殺された若い力士は親に「いい子になるから、迎えに来てください」という趣旨の電話を入れていたらしい。迎えに行かなかった親は、子を見捨てた責任がある。高校を中退したこの若者は、親からすれば必ずしもいい子ではなく、たぶん世間でいう「不良」だったのでしょう。親は子をもてあまし、「存分に鍛えてやってください」などといって部屋に預けたのかもしれない。学校から見放され、親からも見捨てられ、師匠や兄弟子たちになぶり殺された若者が哀れです。

●犯罪者が処罰されるのは当然でも、犯罪者は必ずしも責任者とイコールではありません。そして、事件や事故を減らすには、そのことに責任ある者の責任を正当に指摘し、その者に対策や改善を求めなければならない。

●その責任者が、ふつうの人、ふつうの親などの場合は、テレビや新聞にとってはお客さんだし、政治家にとっても票を入れてくれるお客さんですね。だからテレビや新聞も、政治家も、お客さんの責任を問う発言をあまりしないのです。しかし、私たちはみな、ふつうの人であり、ふつうの親なのだから、その責任は、誰にいわれなくても自覚しなければならない

【すべてを疑え!! MAMO's Site<日録メモ風の更新情報>2007-10-07から】 坂本 衛

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●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)
 

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