テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

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開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

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9.11とメディア 2006-09-11


こんばんは。今週から担当する山口絵理花です。よろしくお願いします。
遅くなってすみません。

今日は米同時多発テロから5年、レバノン停戦から1ヶ月になりますね。やはり特集番組も組まれていましたがそれは見れなかったので、ニュース23を見ました。今日のニュース23は、番組冒頭から9.11についてやっていました。その後3つニュースを挟んだ後、特集でアメリカのニュースキャスターを通して9.11とアメリカのメディアについての特集「9.11がメディアに残した教訓」があっていたので、今日はその特集について書こうと思います。

*ピーター・ジェニングス氏(享年67):アメリカの3大メディア、ABCテレビの夕方ニュースで22年間ニュースキャスターを務める。

特集での説明によると、ピーター・ジェニングス氏は、テロが起きたその日も生放送で伝え続けたそうです。しかしテロ数日後に、ブッシュ大統領に対するコメントや「なぜアメリカはこれほど憎まれるのか」という問いを番組中にした為、当時の熱狂的な愛国心が生まれる中で、ジェニングス氏に対する非難が多く寄せられ、ABCニュースの視聴率もどんどん下がっていったそうです。

また、ジェニングス氏がカナダ人であることも、9.11以降の視聴者には影響を与えたそうです。「なぜ、アメリカ人ではない人にそんなことを言われなければならないのか」と。それまでのジェニングス氏の報道はカナダ人、アメリカ人関係なく客観的かつ冷静な報道の姿勢に定評があったそうです。しかし、9.11以降は国籍までもが引き合いに出されるほど、非難されました。まだテロから受けた傷が浅い中、またブッシュ大統領が率いていた対テロ戦争という「勢い」の中、この戦争は本当に必要な戦争なのかを疑問視したり、冷静な報道の姿勢はアメリカ国民の多くは受け入れることができなかったんだと思います。

それでもジェニングス氏は、イラク戦争中も「抑制した客観的な報道」に務めたそうです。

そして、イラク戦争が始まって4ヶ月後、ジェニングス氏はアメリカの市民権を持ち、アメリカ国民になりました。その1年後、肺がんのため亡くなりました。

VTR中インンタビューに答えていたアメリカン・ジャーナリズム・レビュー編集長、レム・ライダー氏は、「体を国旗で包むのは簡単です。しかし有事の際、高い支持率を誇る大統領に押し切られないでいることは、とてもしんどい。しかし忘れてはいけないのは、たとえ視聴者の支持を得られなくてもメディアは積極的に取材し、批判精神を持ち続けていかなくてはならない、ということです」というコメントを残しています。

この特集は1人のニュースキャスターにスポットを当てた、かなり主観・メッセージが込められた特集だと思いました。ニュース23は、この特集を通して何を視聴者に伝えたかったのか、考えてみました。特集の最後は、ジェニングス氏のインタビュー映像で終わっていました。その最後のコメントは、「私が長く中東に住んで学んだのは、すべての人にとって絶対的な真実はないということです。だからコインを見るときには、いつも本能的にもう一方の側も見たくなるのです」というものでした。
ニュース23は、おそらくこのような冷静な報道姿勢を崩したくないと思い、その意思を視聴者に提示するため特集を作ったのだと私は推測しました。



<番組データ>
番組名:筑紫哲也 NEWS23
放送局:東京放送(TBS)
放送日時:10:54~11:54
キャスター:筑紫哲也、佐古忠彦、草野満代 


コメント

「客観的」=「偏向」ととられる恐ろしさ

私もこの番組を見てました(いつも「23」と「きょう出来」のうち早く放送するほうを見、スポーツや他番組に入ったところでWBSにするのが日課)。11日はWTC崩壊の日ということで直前に関連番組を従えてましたね。当日に特番組んだのはTBS系だけのようです。
 私は番組を見て、ジェニングス氏やABCが客観的になろうとすればするほど、当時の熱狂的な愛国心の中で浮いてしまい視聴者の反感を買った、というニュース23の報告がとても恐ろしいと思いました。
 アメリカでは客観視がそれほど重視されず、報道でも「今回の大統領選では○○候補支持だ」などと立場を明らかにすると聞きます。物事を客観「的」にみるのは視聴者がすることであって我々がすることではない、という考え方です(日本の知識人でもそういう考え方をする人はいます)。しかし9・11報道をみるにつけ、それで本当にいいのか、と私には思えます。本当に異なる考え方や見方を自分なりに比較検討してる人が果たしてどれくらいいるでしょうか。そう考えると、「本能的にもう一方の側も見たくなる」というジェニングス氏の気持ちにとても同情しますし、ニュース23が取り上げた意図も山口さんと同様、そこにあると思います。
 ジェニングス氏が米国国籍を取ったのは、「アメリカ人でないのに何が分かる」という批判に対する一つの答えだったのでしょう。ただしそうはっきり言ってしまうと言論の自由や独立性を自ら侵すようで、言えなかったのでしょう。そしてそのストレスで、やめたはずのたばこを再び吸うようになって、肺がんとなったのでしょう。
 私が見ていてもう一つ思ったのは、よくTBS(JNN?)がABCのキャスターについて触れたな、ということです。80年代後半から、TBS-CBS、NTV・TX-NBC、あとのキー局とNHKはABC(フジ以外はCNNとも)と協力関係を固定する傾向がありましたので。ちょっと前までCBSイブニングニュースがTBSの深夜(ローカル枠)で放送されてましたし(静岡県のSBSでもネット、現在はBS-iに移行)。ただ今回、コーナー冒頭のジェニングス氏死亡を報じるニュースだけはさすがに?CBSのニュースを引用してましたが。

見てはいないのですが・・・。

この番組を私は見ていないのですが、まずABCテレビの夕方ニュースで22年間ニュースキャスターを務めた人がカナダ人だったことに驚きました。日本ではあまり無いと思います。アメリカ人は居たとしても、言うなれば・・・日本の番組で韓国人がキャスターをしているといった感じでしょうか?

確かにそう考えると、。「なぜ、アメリカ人ではない人にそんなことを言われなければならないのか」という気持ちもなんとなく分かる気もします。
この報道はもちろん9.11の事を報道しているでしょうが、日本のメディアに対する警告もしているような気がします・・・。小泉政権でのメディアの役割は大きかったので・・・。

閉鎖的VS開放的

アメリカとカナダって盟友のような感じではないかと思います。国境が地続きですし経済も一体化してますし。カナダ人だから問題というのは通常は起きない国民感情ではないでしょうか。日本では正直いってまだまだ韓国への偏見が強いですから、森さんの例えはあんまり妥当ではないと思います。いえ、それ以前に、日本では日本以外の国(の人)は視野に入ってないですから、その意味ではアメリカに例えようがないですね。
 でも、日本国内では、ローカル局のアナウンサーは縁もゆかりもない地域の出身者が多いんですよね。それでエリア内の地域どうしの微妙な感情のヒダが分かるんでしょうか。関東広域局だと関東全体のこと知らなくても、東京からみた目新しいスポット知ってりゃ勤まりそうです。

報道にも心意気を

>かじかさん、森さん、コメントありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。

>(かじかさんのコメント)本当に異なる考え方や見方を自分なりに比較検討してる人が果たしてどれくらいいるでしょうか。

実際に、今までテレビでニュースを見る時だけでなく新聞、本などのメディアを私はうのみにしてきていたと思います。両親も、ニュースであることは間違いのないことと信じて見てきたんだと思います。そう考えると、客観的・冷静な報道がなされているかどうかを、様々なバックグラウンドを持つ視聴者にゆだねるのは本当に危険だと思いました。また、もっと視聴者のテレビの見方を変えるような策がとられても良いのではないかと思います。まあ、大規模な実現は難しいとも思いますが・・・。

>(森さんのコメント)この報道はもちろん9.11の事を報道しているでしょうが、日本のメディアに対する警告もしているような気がします・・・。

そうですね。私もそう思い、このことを記事にしました。何か大きな流れに異論を唱えるのは、特に夜のニュースではできている事だと私は思います。でもイラク戦争支持国となった日本で、アメリカでのメディアのあり方を取りあげてこのような特集を組んだTBSの心意気は特にすごいなぁと思いました。


これは・・・

>なぜ、アメリカ人ではない人にそんなことを
>言われなければならないのか
単なる言い掛かりだと思いますね。ひどい話です。

仮にジェニングス氏がアメリカ人だった場合は、
彼の過去でも調べ上げて
なにか別の文句が生まれていたことでしょう。
彼の国籍は、さして問題では無かったと思います。
たまたま目につきやすかったステータスが
それだったというだけで。

しかし、もしも・・・・・・アメリカ人の方が、
同時期に同様のコメントを番組中にしていたら、
どうなったのでしょうね。もっとバッシングが増えたかな・・・

なんにせよ、ジェニングス氏はアメリカ想いだと感じました。
アメリカ人では口にしにくい話題を、あえてするのですから。
勇気がある、立派な方だと思います。番組見れば良かったな。

あ~しくじった~

>村瀬さん、コメントありがとうございます。
ごめんなさい、残ってたらお渡ししたんだけど、昨日撮ったビデオに重ね撮りしちゃいました・・・。残念・・・。

いやぁ~、

そこまで気を遣わなくていいっすよー
気にしないで下さい。

言われてみれば・・・。

>日本では正直いってまだまだ韓国への偏見が強いですから、森さんの例えはあんまり妥当ではないと思います。(かじかさん)

指摘ありがとうございます。言われてみて、その通りだなと思いました。
日本と韓国の関係とアメリカとカナダの関係には偉い差がありますから・・・。

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●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)
 

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