テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2012年度の授業テーマは「[実践!]ネットは放送を殺すか?──ネットを理解することで、放送をより深く知ろう」。

第2回 日本語とはどういう言語だろう? 2017-04-21


●日本語とは?

・主に日本国内や日本人同士の間で使われている言語
・系統不明な「孤立言語」
 (アルタイ語族? 南島語族? それらの混合?)

ネットユーザー統計
日本語の起源(Wiki)
ウラル・アルタイ語族(同)※現在では別のものとして分類
オーストロネシア語族(同)

●日本語の特徴は?

・膠着語(言葉に活用語尾や助詞の類いがくっつく a→a+x)
 ⇔屈折語(くっつかず言葉そのものが変わる a→A)
・SOV型
 ⇔SVO
・題述構造(象は餌をやった 象は歩く 社長は私だ)が頻出する
 ⇔主述構造(象が歩く 象は歩く 私が社長だ)
・修飾語が前にくる
 ⇔修飾語が後ろにくる
・敬語(尊敬・謙譲・丁寧・美化など敬意表現)が複雑で多様で微妙
・和語・漢語・外来語が混在
・擬声語(擬音語・擬態語、オノマトペ)が多い

日本語(Wiki)
膠着語(同)

●ということは、日本語表現には……

・主語がはっきりしない(場合がある)
例)社長である。
→シチュエーションによって、意味が違う。
 「責任者は誰か?」と聞かれて……社長だ(と私は思う)。
 朝礼の第一声で……私が社長だ(わかってるね)。

・何が言いたいか、結論は何か、すぐにわからない(場合がある)
例1)
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal; and that obedience to such laws is incumbent upon all nations who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other nations.

例2)
首相は、……で、そのうえ……であるから、高く評価できる。
首相は、……で、そのうえ……であるから、高く評価できるか?
首相は、……で、そのうえ……であるから、高く評価できない。

・文の(本来の、直接的な)意味以外の意味が通じる(場合がある)
例1)ありがたい。……めったにないことである。(感謝)
例2)お待たせしました。……私はあなたを待たせたところである。(謝罪)
例3)申し訳ありません。……申しあげる言い訳が存在しない。(謝罪)
例4)謝罪したいと思います。……(謝罪?)

・曖昧/微妙/細やか/間接的/感情的/消極的/婉曲/遠回し
 といった表現が多い(ようだ)。
以上が日本語そのものの特質か、話す日本人のせいでそうなっているのか、その両面があるのかは、また別の問題。英語とだけ比べて「日本語は特殊」「曖昧」「非論理的」などと考えるのも早計。

●そこで、あれこれ考えよう

・以上のような問題は、放送や報道の日本語表現に、どのように表れているだろうか?
・それを、日本の放送や報道の問題点といえる場合があるだろうか?
・いえるならば、どうすれば問題が改善されるだろうか?

●推奨本

三浦つとむ『日本語はどういう言語か(講談社学術文庫)
送料込み400~500円で入手できるならば、一読を勧める。

【重要】
1)受講生は、坂本にメールを出してください。
2)坂本からの返信が受信できることを確認してください。PCメールをハネる設定にしている者が多いので。
3)ノートを用意し、メモを取りなさい。本ブログを書き写すようなムダはしないこと。
4)前回と今回のブログにコメントしなさい。次回以降も同様。
5)なお、以下に留意のこと。『Newsweek日本版』は2010年7月、「イギリスのある調査では、アンケートに回答した企業経営者の半数が、就職希望者の未熟な面(酒におぼれたエピソードや不法行為の写真、文法の間違いなど)をフェースブック上で発見した場合、採用を見合わせると回答した」という趣旨の記事を掲載した。


【坂本 衛】

第1回 【前期ガイダンス】なぜ、いま「放送・報道の日本語表現」を研究するか? 2017-04-14


1)自己紹介

坂本衛のプロフィール(経歴)
坂本衛facebook
最近の本の仕事その1 佐藤優・田原総一朗『この世界を知るための教養』(アスコム刊)
最近の本の仕事その2 榊原英資『日本国債が暴落する日は来るのか?』(ビジネス社刊)

2)この授業について

本年度シラバス
授業の目的は次の二つ。
1)放送・報道がヒドい状況だ。それらは日本語表現。だから研究する。
2)学生諸君は日本語表現が苦手(なはず)。それを学ぶことになって一石二鳥だ。

3)坂本がヒドいと考える放送・報道の例

・熊本地震報道から……「無数のブルーシート」「果てしなく続く地割れ」「完全に横倒し」「1階が完全に潰れ」
坂本Facebook記事(2016年4月15日)
坂本Facebook記事(2016年4月17日)

・鳥取大雪報道から……「スリップ防止のためか、通行止めです」
坂本Facebook記事(2017年2月13日)

・誰かの発言を右から左へそのまま伝えるのが報道の役割か? メディア=媒体=二つの間にあるもの。油絵で絵の具を溶く油をメディウムといい、色がついていると困る。報道も無色透明でいいのか?

・国旗上下の話(これは別にヒドくない。文句つけるほうがヒドい例)

4)質疑応答

・なぜ、報道する者は大げさに、過剰な修飾語(形容詞や副詞)を連ねて報じるのだろう?
(学生)誇張したいから。
(坂本)いやいや。だから、なぜ、誇張したいの?
 報道者が「すごい」と興奮し、舞い上がっている。
 自分は「すごいこと」を伝えている、と伝えたい。

・「形容詞を使うのはおやめなさい」「あなたは『美しい』という言葉を一切使わずに風景を描写なさい。『美しい』と思うのは読者です」(ナルニア物語のC.S.ルイスが、読者の手紙に答えて)
・学生Aの質問:ヒドい報道をなくしていくには、どうすればよいか?
・学生Bの質問:報道が無色透明でないならば、その色を見定めるには、どうすればよいか?

【坂本 衛】

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日本大学藝術学部放送学科

●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。もちろん学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)