テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

学徒出陣(戦時下の映像その2) 2010-04-25

【4月23日に見せた映像その2】
-----------------------------
『学徒出陣』
1943(昭和18)年 15分 文部省
-----------------------------

●戦前の日本の映像で、どうしても受講生諸君に見せておきたいものを一つだけと言われれば、これを挙げる。現在の大学生に言いたいのは、たった一言「67年前でなくて、よかったね」。67年前であれば、男子学生は「生ら、もとより生還を期せず」と宣言して征った。女子学生は雨の中を見送った。私の父母、君らの祖父母は、この映像の学生たちと同世代で、この中の一人だったとしても何の不思議もない(実際、知り合いに行進した男子学生も見送りの女学生もいる)。だから、まったく他人事《ひとごと》ではない映像だ、ということに尽きる。

●みんな凛凛しく、実によい顔をしているのに、心撃たれる。顔を映す水たまり、行進するゲートル(巻き脚絆《きゃはん》)アップ、泥はねが高く飛んだ後ろ姿などをとらえたカメラも俊逸。アップになった顔は、みんなイケメンだ。観衆は動員された女学生や小中学生などだが、縦何列かが拍手していなかったのに気づいた? 引率教員がそう命じなかったのかも。

●特別に壮行会を開いてやるからありがたく思えという文部省のお上意識(露骨なナレーション)、「おめでとう」と祝って若者を戦地に送り出した首相・文部大臣(挨拶)その他の責任も、忘れずチェック。いつの時代も、首相や大臣の挨拶は実につまらん。

●勇壮というか悲壮な行進曲は、『抜刀隊』という明治初期の軍楽。その歌詞は以下。「古今無双の英雄」とは西郷隆盛のこと。抜刀隊は西南戦争時、田原《たばる》坂の戦いで臨時に編成された決死隊。

我は官軍我(わが)敵は、天地容れざる朝敵ぞ
敵の大將たる者は、古今無双の英雄で
之に從う兵(つわもの)は、共に慓悍(ひょうかん)決死の士
鬼神(きしん)に恥(はじ)ぬ勇あるも、天の許さぬ反逆を
起こしし者は昔より、榮えし例(ためし)あらざるぞ
敵の亡ぶる夫迄(それまで)は、進めや進め諸共に
玉散る剣(つるぎ)抜き聯(連)れて、死ぬる覺悟で進むべし

●学徒出陣とは?

以下、平凡社「世界大百科事典」
学徒出陣 がくとしゅつじん (執筆:粟屋 憲太郎)の項から引用。

太平洋戦争時に大学・高専在学生の徴兵適齢 (20 歳) 以上の者のうち,理科系,教員養成系以外の者の徴兵延期制度を撤廃して入隊させた措置。(中略)
従来,大学,高専の学生・生徒には徴兵猶予の特典があったが, 1941 年 10 月,大学,専門学校などの修学年限を 3 ヵ月短縮し,同年の卒業生を対象に 12 月臨時徴兵検査を実施し,繰上げ卒業により合格者を 42 年 2 月入隊させた。さらに 42 年には予科,高等学校を加えて修学年限を 6 ヵ月短縮し, 9 月卒業,10 月入隊の措置がとられた。ついで戦局悪化による下級将校の不足に対処するため, 43 年 10 月 2 日,在学徴集延期臨時特例が公布され,理工科系および教員養成学校を除く文科系高等教育諸学校在学生に対する徴兵延期撤廃の措置がとられた (なお,植民地の朝鮮でも同年 10 月学徒兵制を実施)。同時に〈昭和 18 年度臨時徴兵検査規則〉が公布され, 10,11 月に検査を実施し,丙種合格 (開放性結核患者を除く) までを 12 月に入隊させることになった。第 1 回学徒兵入隊を前にして,東京では 43 年 10 月 21 日,文部省学校報国団本部主催による出陣学徒壮行会が明治神宮外苑競技場で開かれ,東条英機首相,岡部長景文相出席のもと関東地方入隊学生を中心に 7 万人が集まった。このほか各地で壮行会が開かれたが,翌年の第 2 次〈出陣〉以降は壮行会さえ行われなかった。(後略)

なお、上記項目の記述によれば、学徒兵の総数は 13 万人に及んだと推定。

●学徒出陣の彼らが、日本で特別悲惨な目にあった若者たちということでは全然ないから注意。当時の若者は、満20歳(1943年からは19歳)の時に受ける徴兵検査に合格すれば、兵役に就いた。余裕がなくなってきて、20歳をすぎても猶予されていた者たちの例外扱い・特別扱いをやめた、という話。
スポンサーサイト



表紙(最新ページ)へ

月めくり

≪≪ 2010-04 ≫≫
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

年月別の記事

内容別の記事

3.11巨大地震発生から

最近の記事10

最近のコメント10

主宰者から

日本大学藝術学部放送学科

●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)