テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2012年度の授業テーマは「[実践!]ネットは放送を殺すか?──ネットを理解することで、放送をより深く知ろう」。

ハーヴェイ・ミルク/THE TIMES OF HAVEY MILK 2008-06-27

●ハーヴェイ・ミルク/THE TIMES OF HAVEY MILK

●1884年(アカデミー最優秀長編記録映画賞受賞)

●製作:ロバート・エプスタイン、 リチャード・シュミーセン

●ナレーション:ハーヴェイ・ファイアスタイン

●87分

●ハーヴェイ・ミルク(Harvey Bernard Milk)は、アメリカのゲイ運動家。1930年5月22日生まれ。1977年、カリフォルニア州サンフランシスコ市の市政執行委員に当選。ゲイはじめマイノリティ差別反対を訴えて活動するが、1978年11月27日、同僚委員のダン・ホワイトによって、ジョージ・マスコーニ市長とともに市庁舎内で射殺された。その一生と、射殺事件のその後までを描くドキュメンタリー映画。

●20周年記念デジタルリマスター版DVDが2004年にリリース。これには監督ロブ・エプスタイン、ゲイとカミング・アウトしたハーヴェイの甥スチュアート・ミルクなどのインタビューが追加されている。

●参考
「ハーヴェイ・ミルク」(Wikipedia英語版)
「ハーヴェイ・ミルク」(Wikipedia日本語版)

●坂本メモ

・冒頭の入り方に、まず注目。文章の「最初の1行」に何を書くか、と同じこと。

・典型的、定番的なドキュメンタリーの作り。しっかりした構成は、制作の手本になる。

・インタビュー映像をいくつも重ねていく。その一人ひとりが、なんと表情・表現力豊かで、パワーに溢れ、魅力的なことか。日本人でこういうインタビューが撮れるだろうか。

・アメリカとは、アメリカ人とは、アメリカ社会とは、ボランティアとは、マイノリティとは、ゲイとは、裁判とは、陪審員制とは、銃社会とは……、立ち止まって考えさせられる見どころが、実に多い。

・悲しい、衝撃的な映像だが、しかし、おもしろい。このおもしろさは、どこからくるか。

・これはハーヴェイ・ミルクの映画である。だが、明らかにダン・ホワイトの映画でもあると思える。

●見逃した者は、仕方ないから、ここへ行け

夜と霧/NUIT ET BROUILLARD 2008-06-13

●夜と霧/NUIT ET BROUILLARD

●1951年、フランス(ジャン・ヴィゴ賞、フランス映画大賞受賞)

●製作:アナトール・ドーマン

●監督:アラン・レネ

●脚本:ジャン・ケイヨール(解説台本)ほか

●撮影:ギスラン・クロケ、サッシャ・ヴィエルニー

●考証:アンドレ・ミシェル、オルガ・ウォムセ

●32分

●ナレーション:ミシェル・ブーケ

●音楽:ハンス・アイスラー

●第二次世界大戦中、ヒトラー率いるナチス・ドイツは、600万人のユダヤ人を殺した。このジェノサイド(集団殺戮、民族浄化)、ホロコースト([とくにユダヤ人の]大虐殺)を淡々と告発するドキュメンタリー。日本における初公開時には、生首や死体の山の映像が残虐すぎるとしてカットされた。

NUIT ET BROUILLARD

※8分割されているが、同じ場所から全編を見ることができる。
※坂本が持っているDVD(日本語字幕付き)が、見つからないので、とりあえずこれで我慢してくれ。

●授業で坂本が言ったこと
「人間というのは、ここまでしょうもないことをやれるんだと、よく見ておきなさい。で、私はアウシュビッツを作ったヤツと、広島・長崎に原爆を落としたヤツは、五十歩百歩だと思う。私のオヤジ、君らのお祖父さんの世代の日本人は、こういうことをやっていたドイツ人と世界中でいちばん仲良しで、同じ陣営の味方としてこの前の大戦争を戦ったのだということも、忘れないでくれ」(授業で)

以下、「すべてを疑え!! MAMO's Site」日録メモ風の更新情報2005年7月29日付記事(一部修正あり)
●ひっちゃかめっちゃかな部屋を片付けていると、仏ドキュメンタリー映画「夜と霧」(監督アラン・レネ 脚本ジャン・ケロール 語りミシェル・ブーケ 1955年 32分)のビデオが出てきたので、つい見入ってしまう
●何もいうことはない。言葉を失う映像ですから。この映画に記録されたことをやったナチスドイツと組んで、私たちの国・日本が世界の5分の4と戦ったことは、何度でも思い出したほうがよい。とりわけテレビや映画をはじめ映像に関わる人は、見ておくべきです(日大の学生諸君の多くが未見なら、今度見せる)。映画の最後で語られる言葉は、何度聞いても私自身の問題として考えさせられます。以下に引用させてもらいます(どの程度、正確な訳なのかは知りません。字幕スーパーそのままです)。
●「我々の中のだれが戦争を警戒し知らせるのか。次の戦争を防げるのか。いまもカポが将校が密告者が隣にいる。信じる人。信じない人。廃墟の中に死んだ怪物を見つめる我々は、遠ざかる映像の前で希望が回復したふりをする。ある国のある時期の話と言い聞かせ、絶え間ない悲鳴に耳を貸さぬ我々がいる」(仏映画「夜と霧」より)
●遠ざかる映像!!――そう、現実のほんの一瞬、一部分だけを切り取った映像は、事実や真実をほんのちょっぴり含む場合がありうる。しかし、その映像は、自分で勝手にどこか遠くに歩いていくのではない。私たちが、放置し、やがて忘れ、映像から遠ざかるのです。NHKの解説委員長だった山室英男は、何年か前のGALACの座談会で「9・11で旅客機がタワーに突っ込む瞬間の映像を、大きく引き延ばし掲げている。それを見ていると……」と語ってくれたことがある。私は「瞬間瞬間に消えていく映像を静止画にして、いつも見えるところにおく。それはテレビのとてもよい見方ですね」と応じました
●蛇足をいくつか。「カポ」とはアウシュビッツなどの収容所で、ドイツ軍が収容者を監督させるために使ったユダヤ人(収容者の一部)やドイツの囚人のこと。脚本のジャン・ケロールはレジスタンスの闘士で収容所経験もある作家・詩人。彼が1945年に書いた「夜と霧の詩篇」が映画の原作といってよいでしょう。なお、この映画は1956 年(昭和31年)に輸入が試みられましたが「あまりにも残虐」として税関で止められ、製作7年後の1962年に1分弱のシーンを削除のうえようやく日本公開されました。最近、CSのシネフィル・イマジカでやっているのを見たら、当時の削除シーンはちゃんと入っています

●参考
ホロコースト(Wikipedia)

意志の勝利/Triumph Des Willens 2008-06-06

●意志の勝利/Triumph Des Willens

●1935年

●監督:レニ・リーフェンシュタール

●105分

●ドイツの古都ニュルンベルクで1934年9月に開催された「国民社会主義ドイツ労働者党」(ナチス)の全国党大会を記録したドキュメンタリー映画。

●授業では、導入部(ヒトラーがニュルンベルグへ到着まで)と、ヒトラーユーゲント集会(少年たちの鼓笛演奏、ヒトラーの演説、集会後のパレード)を見せた。以下は全編。

Leni Riefenstahl "Triumph des Willens"(英語字幕版)

●参考
「意志の勝利」(Wikipedia日本語版)

●ナチス党首のヒトラーは1933年1月に内閣を組織(首相)。33年8月に総統(=大元帥、首相+大統領)に就任し、第三帝国(ヒトラーのナチズム体制。ヒトラーは962年~神聖ローマ帝国、1871年~ドイツ帝国に次ぐものと見なした)を確立した。その直後のヒトラーの大宣伝ドキュメンタリー。もっとも成功した政治宣伝(プロパガンダ)映像の一つといえる。ドイツでは現在、この映画の一般上映は禁じられている。そのような危険な映像であることを踏まえて、見るように。

●坂本メモ

【導入部】
・レニは空、雲、太陽が好き。人は空が好き
・降臨、降誕のイメージ(「高貴なるもの」の表象)、鷲は舞い降りた
・ハイテク(高度な技術)の象徴。ヒトラーは、選挙戦に飛行機を駆使した世界最初の政治家の一人
・非常に気をもたせる。長い。オリンピアの冒頭もそうだった
・あり得ない映像(ヒトラーの肩越しに沿道・民衆・街並みを見る。併走車からか)
・子どもの顔・人々の顔のアップ、街のアクセント映像などを巧みにはさみ込む(モンタージュ)
・徹底して子どもたち、若者たちの「いい顔」を撮っていることに注意
・余計なナレーションをはさまない。見れば、説明抜き・理屈抜きに誰でもわかる映像
・大げさに高揚させる、ときに美しい音楽

【ユーゲント集会】
・あり得ない映像
・部分のアップ(ラッパ、人びとの顔、少年らの背伸び)
・効果的な音楽(期待を高める、気を持たせる、引っ張る)
・斜め映像(不安定な前がかり、つんのめり……意識のつんのめり)
・観衆(私たち)のアップとヒトラーのアップのモンタージュ(交互に、結局一体化)
・演説するヒトラーの周囲(半円状のレール上)をカメラが回る
(あり得ない映像、飽きない映像、ありえないアングル、ゆっくりじっくり「客観的に」 観察させる、飽きさせない、「ためつすがめつ眺めたが、これは本物だ! すごい!!」と思わせる効果)
・スタジアムのパンとほぼ同スピードであることに注意(同じ目で見る、つながっている、同じ客観性)
・沿道の正しい撮り方(前を撮ってはダメ)
・9分47秒間に約146カット。1分間に約15カット使っている。ちなみに、オデッサ階段の虐殺シーンが モンタージュの手本とされるエイゼンシテイン『戦艦ポチョムキン』は86分で1346カット。これは1分間に15.65カット。

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日本大学藝術学部放送学科

●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。もちろん学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)