テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

テレビ、その「強さ」の研究 レジュメ13──テレビ・バラエティをめぐって (2004-10-29) 2004-10-29


1)バラエティとは何か?

○広辞苑から
バラエティー【variety】①変化。多様性。「―に富む」②変種。③レビューで、歌謡・舞踊・寸劇などの幕なしの続演。バリエテ。④落語・漫才・曲芸など諸種の演芸をとりまぜた演芸会。また、その種の放送番組。
バラエティー‐ショー【variety show】バラエティー④に同じ。

エントロピー【entropy】
(ギリシア語の trope(変化)に由来)熱平衡にある系で、準静的に加えられた熱量をその系の絶対温度で割った値をエントロピーの増加分と定義する。可逆変化ならエントロピーは一定、不可逆変化では必ず増大する(熱力学第二法則)。クラウジウスが命名した熱学上の概念。拡張されて情報理論などでも用いられる。
→エントロピーは、不確定性、乱雑さ、無秩序の度合い

○もっともテレビらしいテレビ(番組)
・テレビ草創期に、バラエティはない
・テレビが「独自」の発展を遂げはじめると、広義のバラエティ番組が登場する
・視聴者はもともと多様で多数。それが近年さらに多様化(思考、嗜好、行動)する
・テレビの根本原理「視聴率up」=すべてをターゲットにする
 →1番組内で多様化する
 →コーナー分割し、多くの要素を盛り込む=バラエティ化する

○あらゆる番組はバラエティ化する!?(とりあえずの、しかし有力な仮説)
・作品性から情報性へ
・重厚長大から軽薄短小へ
・テレビが何かを作り出せず、もっぱら何かを増幅するのは、バラエティ化と関係がある

2)急増したいくつかの番組群(ちかごろのバラエティ)

○ドキュメンタリー的な笑い
・芸の解体、芸なきことの芸、芸より裏側
――たけし、さんま、タモリ、とんねるず、ダウンタウン、うっちゃんなんちゃん、ナイナイが本来持っていた(デビュー当時の)芸を見せているのではないことの意味を、よーく考えてみよう
・ヒトの笑いから企画の笑いへ
・プロデューサー主導、ディレクター主導(ドラマにも、この言葉が出てきたことに注意せよ)
・フジの笑いから日テレの笑いへ――「元気が出るテレビ」「電波少年」「ウリナリ」

○「VTR放映+リアクション」構成の番組群――「野々村真」とは何か?(これで卒論1本書けるぞ)
○ワイド情報バラエティ――「王様のブランチ」

○「参加」から「いじり」へ

○ドラマの「情報化」、「トレンディ化」
物(ブランド品、主人公OLの室内)、場所(田園都市線沿線、お台場、流行りの店)が主人公化する

3)テレビ・バラエティの「強さ」

○正統、権威、歴史といったものを壊す
○物事をわかりやすく、身近な存在として提示する(人びとの欲望に忠実)
○雑多なものをぶち込む→伝わり方が広がる

4)テレビ・バラエティの「弱さ」

○企画の貧困――横並び、モノマネ(パクリ)番組の横行、柳の下にドジョウは5匹?
○ヒトの貧困――吉本とジャニーズに「おんぶにだっこ」
○カネの貧困――安易なつくり、いわゆる「やらせ」
→人びとの欲望に忠実すぎ、おもねる

テレビ、その「強さ」の研究 レジュメ12──テレビドラマの「強さ」 (2004-10-08) 2004-10-04


1)松×布×子からのメール

一応「報道」と名を冠しているものでも、どこかにおかしものを感じずにはいられない。何か放送はおかしくはないか?
特に最近の出来事に対して、考えを聞かせていただけないでしょうか。

……なので、ちょいと話し合ってみよう!!

2)ドラマって何だ?

○ドラマ(drama)=(1)演劇。劇。芝居。(2)戯曲。脚本。
○ギリシア語のtheatron (テアトロン)=見物する場所
 芝居=平安末期~中世に流行した延年舞曲を、観客が寺社の境内の芝生に居て見物。
 延年(えんねん)=東大寺・興福寺その他の大寺で、大法会後の余興として僧侶や稚児 の行なった芸能の総称。平安中期に起り、鎌倉時代に盛行。風流・連事・開口・当弁・ 倶舎舞・白拍子・若音など種目が多い。室町時代末には衰え、現在わずかの寺院に面影 を残すに過ぎない。延年舞とも。
○ギリシア語のdrama (ドラマ)=行動、する、演じる(=play)
 劇=激しい(劇薬、劇物)
○「見る者・見せる者」を現実の一つの空間に集合した、本質的に社会的な営為。
→もともとの意味のドラマは、場所と行動の2つを合わせ持つ。

○テレビドラマは、ドラマに含まれる「場所」をすっ飛ばした、あるいは茶の間に置き換えたもの。
→その結果なにが起こったか、考えてみよ。
・よりリアルに(場所と時間の制約なし、視点の変化、ロケetc.)
・よりフィクションに(虚構性が強まる)
・演出(作り手関与)領域が拡大
・観客の関与領域が縮小(より受け身に)、ただし数は膨大に
・拍手は視聴率に変わる
・〈見ているものが限りなく現実に近く、現実そのものであれ〉という虚構と現実の同一視の欲望と、〈見ているものに完全に同化したい〉という欲望――これは変わらない。

3)テレビドラマについて

○「多数・同時共有」の面で、ピカ1の強さ
・タダ、手軽、わかりやすい……
○「スポンサー」という存在
・まがりなりにも、制作部門に相当なカネが投下されるシステムが確立
・たとえば映画、小説、マンガに比べてどうか?
○視聴率の呪縛
・功罪の両面
○民放プロデューサー・システム(トレンディドラマ=ドラマのバブル以降)
・民放とNHKの違い(とても大きい)に注意
・プロデューサー主導――編成主導(俳優をまず押さえて物語はあとから)
・脚本や演出の共同化――「作品性」の欠如
・プロダクションへの外注化――局カラーが薄まり没個性化
・カネ喰い虫――トレンディ=バブル・ドラマの崩壊と、そのツケ

4)連続ドラマ(連ドラ)の不振

○理由を考えてみよう
・視聴者の「視聴行動」の問題(ながら視聴、長く薄い視聴)
・視聴者のニーズ・興味の多様化、分散化
・現実優位(いま、何がドラマティックか?)
・90年代以降、世界は大変化を来たし、国内でも95年大震災・サリン事件に象徴される大災害・大事件が勃発。この圧倒的な現実をすくいとっているか?
・制作現場のマンネリズム(冒険や挑戦をしない――視聴率至上の弊害)
・制作現場の疲弊(人材不足、制作費の削減)

テレビ、その「強さ」の研究 レジュメ11──テレビ報道の「強さ」 (2004-10-01) 2004-10-01

1)前回の補足

・朝鮮戦争について
(誰か「1910年ころ?」とかいってたと思うので)

2)放送の「王道」「正統」――テレビ・ニュースについて

企画段階
・「慎重な配慮」「自主規制」から扱わない(扱えない)ネタ
 NHK……政治
 民放……スポンサー・監督官庁・系列(親会社)
・横や上からの押しつけ企画
・局による報道は、何よりも局を優先する

取材段階
・体制(人の問題)
・制作費
・時間
・「絵」になるか、ならないか

編集段階
・時間
・ニュースの価値判断
・チェック機能
・編集の余地がない……それこそテレビの「強み」であり「弱み」

3)バラエティ化

・得たもの
・失ったもの

4)視聴者の責任

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●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)