テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

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開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

テレビ、その「強さ」の研究 レジュメ4──「制度としての放送」の強さ (2004-05-28) 2004-05-28

注)前回(05-21)はレジュメなし。代わりに「地上放送局って?」資料を配布。

1)「制度としての放送」の強さ(官優位システム)

○放送は、大規模な送信システムが必要、多数の受信機(生産システム)が必要、公共財である電波を使う、支配・統治の道具として非常に有効などの理由により、国がシステム構築に初めから関与する。
(正確にいえば、最初の技術開発、局の設立、受信機の製造販売は民間。十分使えるとなった段階で、国・政府が乗り出す。)
○原理的にも制度・法体系上も、放送は通信の一部に含まれる。
○米・英・日の「放送の歴史」(ある段階までラジオの歴史)を比較検討してみよう。
○国内最大の放送局が「国営でない」国がどのくらいあるか調べてみよう。

2)日本の放送導入小史

1925年 社団法人東京放送局が初のラジオ放送。大阪放送局・名古屋放送局が続く
    放送の機能は「文化を国民に均分」「慰安によって家庭生活を革新」
    「国民の教養を養う」「経済機能を敏活にする」
1926年 逓信省の指導で3放送局を統合、日本放送協会が誕生
    放送を規律するのは「無線電信法」(さらに逓信省令「放送用私設無線電話規則」
    「放送用私設無線電話監督事務処理細則」)

○ラジオの位置づけは、逓信省(政府)→無線電信法(電報や電話など公衆電信を政府の一元管理統制下に)→ラジオ放送(公衆電信の一つ)→実際の担当はNHK(独占)
○国営放送でないかたちでNHKを官僚統制下においた狙いはなんだろう?
○「放送の歴史」と「戦争の歴史」を重ね合わせ、気がつくことをまとめてみよう。
 (表づくりが極めて有効。左に放送史・右に戦争史を書き、関連を探れ)

3)戦後の放送改革小史

1950年  電波三法(電波、放送、電波監理委員会設置) 特殊法人日本放送協会が発足
1951年  正力松太郎「日本テレビ放送網」構想
1952年  電波監理委が日本テレビに予備免許を出し、廃止
1953年  2月にNHK、8月に日本テレビが放送開始

○「アメリカ(GHQ)が民主化を強く要請・主導→その体制がスタート→ひっくり返る(修正)」のパターンは、昭和20年代のあらゆるものに見られる。30個ほど挙げてごらん。
○「逆コース」といわれたその修正の理由を考えてみよう

4)まとめ

○国の一部(国営放送)、国の一部に準じる(公共放送)、国には属さないが国または国に準じる組織に管理される(民間放送・商業放送)など濃淡は異なるが、いずれにせよ「制度としての放送」は国の影響を強く受ける。

○国の影響下にあることによる「強さ」は、資金面(国のカネ・補助金)、各種の優遇策(各種優遇税制、放送局開局時の便宜供与)、国の政策と放送事業の連動(法律・行政指導などによる支援)など。

○国が放送局に「強さ」をもたらすことは、放送局に国に対する「弱さ」がもたらされることを意味する。その「弱さ」は、現在の放送局がかかえる最大の問題の一つ。
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●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)