テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

スポンサーサイト --------

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第6回 「5W1H」とテレビ映像について考えよう 2017-05-26


●5W1Hとは何?

報道は、起こった出来事(真実かどうかはさておき事実)を伝える。
伝えるとき必須の要素とされるものが5W1H。

What?(何が)……What happened?
Who?(誰が)……Who was involved?
Where?(どこで)……Where did it take place?
When?(いつ)……When did it take place?
Why?(なぜ)……Why did that happen?
How?(どのように)……How did it happen?

・英語圏ではFive Ws(5Ws)とも。この場合はWhat、When、WhereをHowがカバーする、と考えてもよい。
 日本では「六何《ろっか》の原則」とも。何が、何時《いつ》、何処《どこ》で、何人《なんぴと》が、何故《なぜ》、如何《いか》に→「何」が六つ。

・報道に限らず、フィクション以外の報告書、記録などでも必要なこと。その種の文を書いたら、5W1Hを自問してみる。
→答えが六つ出そろっていれば、とりあえず必須条件はクリア。


●5W1Hがそろった文をつくれ!

学生A「渋谷で田中がおととい大麻を所持していたため逮捕された」
学生B「★私は★きのう池袋で会議するために友だちと御飯を食べた」
 ★Whoが抜けたので追加!
学生C「今日駅で私は財布をなくしたと思って探したので遅刻した」


●六つの要素の順序は、どうすりゃいい?

学生意見「Whenが最初にきそう」「〝いつ〟が頭にあると自然な感じ」
「報道は速報するからWhenが大事。だから最初に時に触れるのでは」

「昔昔あるところにお爺さんとお婆さんが」

○「いつ」を冒頭に持ってくると自然な理由

「時」は、普遍的な、誰にも共通する、大きく広い要素(よってすべての事項を修飾・説明可)だから。
大きいものから小さいものへ、漠然としたものから詳細なものへと説明していくのが自然で、わかりやすい。

○分析・検証しよう

A「昨日東京で死んだ」
B「東京で昨日死んだ」
C「東京で死んだ 昨日」
D「昨日死んだ 東京で」
E「死んだ 昨日東京で」
F「死んだ 東京で昨日」

どれも間違いではないが、日本語はSOV(Subject+Object+Verb)型だから、C~Fは例外(たとえば「あいつどうした?」への答えなど、一般的でない)。しかも構造上、二つの文になる。

ABはどちらもありうるが、Aの「昨日」が「東京で死んだ」全体を修飾するのに対し、Bは「昨日」という異質な説明が途中に挟まった印象を受ける。
場所を強調したいとき(たとえば安全と思われている場所で、ありえない殺人事件が起こってしまったなど)は、当然Bもあり。場所と出来事の説明がともに煩雑で長ければ、AよりBのほうがわかりやすいことも(昨日、○○………………○○で□□が××………………××した→○○………………○○で昨日、□□が××………………××した)。


●「いつ」は絶対表現で書く

おととい……今日を基点とした2日前(今日に対する「相対表現」)
 →今日が動けば(例 新聞を翌日読む)、不正確になってしまう。
2017年5月26日……どの時点でもある1日だけを指す「絶対表現」

※メディアによって、望ましい年月日表現は異なる(煩雑になるから不要なものは適宜省く)。
テレビ「今日昼過ぎ、東京で火事があった」
新聞「26日午後、東京で火事があった」
単行本「2017年5月26日午後、東京で火事があった」

「先月」「3年前」といった表記にも注意。5年後も読んでもらうつもりなら、絶対表現で書くべき。
6月2日に5月30日の出来事を「先月」というのも妙。実はたった「3日前」なのだから。
Facebookは必ず日付けがつくからよいが、日付けなしのブログに「きのう」と書く者がとても多い。読者に対して不親切。


●リード(前文)

記事本文(本記)の頭につける導入部の要約的な文。ここで5W1Hを簡潔に押さえ、必要な詳細は本文で丁寧に説明するのがふつう。

※ある日の新聞を、リードにどんなことが書いてあるか、日時表現をどうしているかに注意しながら読んでみよ。


●キプリングの詩

I Keep six honest serving-men:
(They taught me all I knew)
Their names are What and Where and When
And How and Why and Who.
I send them over land and sea,
I send them east and west;
But after they have worked for me,
I give them all a rest.

I let them rest from nine till five.
For I am busy then,
As well as breakfast, lunch, and tea,
For they are hungry men:
But different folk have different views:
I know a person small--
She keeps ten million serving-men,
Who get no rest at all!
She sends 'em abroad on her own affairs,
From the second she opens her eyes--
One million Hows, two million Wheres,
And seven million Whys!

なぜなぜ子象の鼻がなぜ長くなり、ほかの象の鼻もなぜ長くなったか。

THE ELEPHANT'S CHILD
キプリング原作「ジャングル・ブック」

○余談: ディズニーアニメにはイギリス児童文学の原作が多い。私が子どものとき読んだ本(たとえば岩波子どもの本)も圧倒的にイギリス原作。イギリスの国力・英語力が圧倒的だったからだが、それ以外にも理由があるような。


●学生質問「時を最初にもってくる、とシステムとしてルールを決めると、表現が機械的・画一的・没個性的になってしまうのでは?」

坂本回答

原則だから例外はある。「誰が」を強調したければ、冒頭に持ってきてよい。強調したいことも思いつかず、どんな場合でもこの順序と決めている記者が書けば、どの記事も代わり映えない一律のステレオタイプ表現になってしまう懸念はある。それは表現の問題より、むしろ記者が機械的という問題だろう。

5W1Hは基本中の基本だから、X新聞とY新聞のリードがほとんど同じでも、別にかまわない。逆に事件の発生日時・場所や「死んだ/生きて救出された」が違うほうがおかしい。

独自の掘り下げで個性を発揮することは、本文でいくらでもやればよい。
誰に取材するか、どんな質問をするか、出来事全体の意味どう伝えるかなどディテール部分で、いくらでも個性を発揮できるのでは。
一言でいえない「Why? How?」部分こそ、記者の真価が問われる。「What? Who? Where? When?」は警察が教えてくれるわけだから。

○余談:大地震は「だいじしん」?「おおじしん」?
大揺れ、大風、大火事、大船、大間違い……古い言葉(和語)や訓読み語の頭につく「大」は「おお」と読む。
大震災、大旋風、大都会、大失敗……新しい言葉(おおむね明治期以後に一般化した漢語)や音読み語の頭につく「大」は「だい」と読む。

NHKは頑なに「おおじしん」と読むが、私は「だいじしん」のほうが自然と思う。「大地」「大震災」が「だい」なので。


●5W1Hがなっていなかった報道の例

○熊本地震のNHK総合報道
16年4月の熊本地震報道では「ホントに放送局員?」と思わせる記者が画面に登場。しどろもどろのレポートは、何人が住むどの町から何を伝えたいのかすら判然としなかった。(『創』2017年1月号 NHK論考は坂本執筆)

○阪神・淡路大震災時のヘリ映像とレポート
いまどこを撮しているか、よくわからないヘリ映像が少なからずあった。いまはGPS利用、Google地図/航空写真の切り替えなどでわかりやすくできるはず。
【坂本 衛】
スポンサーサイト

第5回 報道に必要な日本語表現とは、なんだろう? 2017-05-19


●おさらい

日本語とは? > 放送/テレビとは? > 報道とは?
それぞれの概要、おおまかな特徴、歴史的な変遷を思い出す。それが今回のテーマの前提。


●報道に必要な日本語表現を考える

報道は[A          ]であるから、[a           ]の(ような)日本語表現が必要なはずだ。

以上「Aとa」(ここではラージAとスモールaと呼ぼう)の組み合わせを、Aとa、Bとb、Cとc、Dとd、Eとe……と、できるだけたくさん(少なくとも五つ六つ以上)考える。
さらに、そのそれぞれについて言葉を足し、なぜそうなのかという確固たる主張・立場の構築をする。


1)Aとa:報道は[A          ]であるから、[a           ]の日本語表現が必要


2)Bとb:報道は[B          ]であるから、[b           ]の日本語表現が必要


3)Cとc:報道は[C          ]であるから、[c           ]の日本語表現が必要


4)Dとd:報道は[D          ]であるから、[d           ]の日本語表現が必要


5)Eとe:報道は[E          ]であるから、[e           ]の日本語表現が必要


----------


●以上のような日本語表現が、現実のテレビや新聞で充分なされているといえるだろうか?


【坂本 衛】

第4回 報道とは、どういうものだろうか? 2017-05-12


●報道とは何?──と学生に聞くと

学生A「社会で起こっている事件事故など出来事を伝えること……」
学生B「Aさんが『火事だ!』と近所に伝えても報道ではない。社会に広く伝えないと」
学生C「Bくんが『火事だ!』とネットで社会に広く発信し、10万人に伝えても報道ではない。ということは……」
坂本「報道の『報』がつく言葉は?」
学生ABC「報告、広報、訃報……」
(ほかに日報、官報、会報、警報、誤報、悲報、予報)
坂本「つまり報は『知らせ』だな。訃報は亡くなった知らせ、日報は日々の知らせ。『道』は? 柔道、剣道、茶道、極道……。ある専門技や芸の全体、それを高めていくやり方や生き方、営み、生きる道って感じだね」

○報道=知らせという仕事、専門的な「業《ぎょう》として」の知らせ

つまり、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌その他「業として」のメディアが社会の出来事などを広く一般に知らせること。その知らせ。

英語ではreport(=調査/研究報告書、報道、記事、議事録、評判 etc.)。
学生が書く「レポート」は英語ではpaper、研究者が書く研究報告書や学校側が出す通知表がreport。


●ニュース、新聞、ジャーナリズムとの違いを押さえよう

○ニュース(news 正しい発音はニュー★ズ★)は「新しいこと」「新しい知らせ」。報道と同じ意味の場合もある(ニューズのうち、業としての知らせが報道)。

NEWSは北東西南の頭文字。だから「ニュースは東西南北くまなく歩いて取れ」なんていう。現場取材を欠かすな、多方面に当たれってこと。

○新聞(新しい伝聞、新しい知らせ)≒ニュース

唐王朝の歴史書『新唐書』(編纂は北宋時代、1060年ころ)に「南楚新聞三卷あり」という記述があり、これは風聞、newsという意味。
→清朝末、中国に進出した欧米人が発行したnewspaperを中国人が古い言葉の「新聞」をあてて呼び、自分たちも発行。明治期、日本にnewsが入ってきたとき、訳語として(中国で使われていた)「新聞」があてられ、newspaperを「新聞紙」と呼び、自分たちも発行。

○Journalismは、個々の報道ではなく、報道全体(事業や社会的な営みとしての報道、報道の世界)を指す。

○informationは、広い意味で「情報・知識」、狭い意味で「案内」(特定分野の求めに応じた情報)。


●古来「報道」は権力者・支配者側の知らせだった!

○アクタ・ディウルナ(Acta Diurna)またはディウルナ

古代ローマの新聞のようなもので、これがジャーナル、ジャーナリズムの語源(ラテン語diurnus=日々の)。アクタは議事録で、BC59年からカエサルの命令で公式・定期的に発行(~330年)。このうち、民衆に知らせたほうがよいものをカエサルが公表させたのがアクタ・ディウルナ(またはディウルナ)。ローマ政庁(の広場)に掲げられた、政府広報としての壁新聞や掲示板。

ローマ政庁

たとえば、元老院でこれこれのことが決まった、ローマ軍がどこそこで大勝利を収めたといった知らせ(外地にいるローマ軍にも同じ知らせが届けられた)。カエサルの意に沿わないものは当然、発表されない。それがジャーナリズムのもともと。

○社会の木鐸

木鐸は、木の舌がついた金属製の大きな鈴。古代中国で政令を布告するとき、
木鐸を鳴らし民衆を集めて説明した。転じて「世論を喚起し、民衆を教え導く人物」を「(社会の)木鐸」と呼んだ。「新聞は社会の木鐸たれ」などというが、そもそも木鐸は権力者の布告の先触れにすぎない。【追記】新聞記者が「社会の木鐸たるわれわれが」というのは聞き苦しい。それは新聞の夜郎自大というべきだ。

報道と同じ意味の大規模なニュースは、近代より前には、権力者や支配者が民衆に伝えるニュース以外、基本的に成り立ちようがなかった(隣村からもたらされたり旅人が伝えたりするニュースは、報道ではなく、伝聞や噂の類い)。


●権力を監視し、ときに対峙する「報道」が成立するには?

1)報道する自由や権利が必要

近代的な「市民社会」が成立し、人びとの自由や人権が広く認められなければ、今日のような報道は本格的に成り立たちようがない。

その道筋の最初のものは 1297年のマグナ・カルタ(英、大憲章)。これは封建貴族と王の約束で、1689年の権利章典とともに現イギリス憲法の一角をなす(イギリスに成文憲法は★ない★)。続く1776年バージニア権利章典、1789年フランス人権宣言などで、近代人権思想が確立され、報道が成り立つ土壌がつくられていく。

本格的な市民社会は「国民国家」の成立と不可分。そこで「王をギロチンにかけろ! 民衆のための新聞だ!」と叫ぶだけでは済まない次の問題、近・現代国家とマスメディアの問題が始まる。どの国でも、国と(つまり国民国家を支える民衆と)ある程度うまくやっていかないかぎり、巨大メディアは維持できない。

2)報道する手段が必要

同じ内容を同時に多くの人びとに伝えなければ、報道は成り立たない。
そのための画期的な技術革新はグーテンベルク(ドイツ)による活版印刷の発明(1450年ころ)。以前の木版は大量印刷が難しかった。

以上の二つがあって初めて、近代的な新聞が成り立つ。
いまは2)の一部が電気通信に置き換わり(ラジオやテレビ)、さらにネットで報道が成り立つかという過渡期。


●報道は、技術革新を背景に、歴史的な大変動をへて、権力者の専有物から民衆の(ための)ものになった。
ならば、次のような問題に注意を払う必要があるだろう。


○誰のための報道か。時の政権のための報道か、社会をつくる人びと全体のための報道か。

○「報道の自由」は、与えられたものでなく獲得したもの。不断の営為によって維持すべきものではないか。

○第4権力(the fourth power)ともいわれるマスメディア。三権(議会・行政・司法)に次ぐパワー? 三権を監視するパワー?

注)もともとは第4階級(the fourth estate)とされ、19世紀イギリスで、聖職者・王侯貴族・庶民(the clergy, the nobility, and the commoners)に次ぐ社会的勢力となった新聞を指した。

○「ウォッチドッグ」(権力を監視する番犬)としてのマスメディアとは?
これと「反権力」は、どう違う?

○たとえば「反アベ」と叫ぶ新聞が、野党の不祥事に目をつぶっていたら、嘘くさい。といって首相に「それは新聞を読んでくれ」といわれる新聞も、嘘くさい。メディアは、どんな場所に立ち、どう立ち回るべきなのか?

【坂本 衛】

第3回 放送(とくにテレビ)とは、どういうメディアなのか? 2017-04-28

第1回で、報道のさまざまな問題を「日本語表現」という切り口で考えていくと話した。第2回で、日本語とはどんな言語かを駆け足で解説した。第3~4回では、放送・テレビとは、そのなかの報道とは、を見ていく。

●放送(とくにテレビ)とは何?──と学生に聞くと

学生A「公共に向けて送る映像」
坂本ツッコミ「公共って何? 私人向けは? すべての人? みんな? 映像だけ?」
学生A「えーと、公衆向けの電気通信(by 本橋せんせい)」
坂本ツッコミ「電話は公衆向け(公衆を対象とする)電気通信だが、不特定多数に送るって意味? テレビ・ラジオ以外のツールで緊急警報を不特定多数に送ったら放送に含めるわけ?」 

学生B「放送局が、映像と音声を視聴者に‥‥‥」
坂本ツッコミ「ちょっと待った! 放送を定義するのに『放送』って言葉使ったらダメじゃん。視聴者も『放送を見聞きする人』だから、放送の説明には使えないよ」
学生B「えーと、電気通信(電波?)事業者が映像と音声を人びとに送り伝える手段」

学生C「だいたい同上かと」

《坂本意見》

●ある概念を説明する(定義する)ときは、その概念とレベルが異なるやさしい/基本的な/一般的な/みんなが意味を知っている言葉だけを使わなければダメ。自分の使う言葉の意味・レベルをわかっていない学生が非常に多い。説明を求められたら「使う言葉を吟味する」癖をつけよう。よい方法は、自分のよく知っている子ども(弟妹とか甥っ子姪っ子とか)や年寄り(祖父母とか)に対して、この説明をしたとき通じるだろうか、とつねに意識することである。

●レベルが同じ言い方を「トートロジー(同義語反復)」という。
例)忘却とは忘れ去ることなり

例は、ラジオドラマ「君の名は」の冒頭ナレーション。修辞学(レトリック)技法の一つで、あえてくどくいう印象づけ・強調表現としてありうるが、説明にはなっていない。

●なくてもよい言葉を「冗語」といい、トートロジーもその一つ。「馬から落ちて落馬する」「白い白馬にまたがって」「頭痛が痛い」の類い(重語、二重表現)も冗語。おもしろ表現だが、そうとは知らず使われることも少なくない。

例)「わが巨人軍は永久に不滅です」(長嶋茂雄、現役引退スピーチで)※不滅は永久に滅びないという意味だから、実は「巨人軍は永久です」または「巨人軍は不滅です」だけでよい。
「クーポン券」「チゲ鍋」※外来語+同じ意味の日本語。

●「同じ言葉を重ねる」トートロジーや重語と対照的なのが、「正反対の言葉を重ねる」撞着語法。※撞着≒矛盾

例)負けるが勝ち、小さな巨人

●放送(とくにテレビ)とは──坂本による定義

「テレビとは、見えるものや聞こえるものを電気信号に変換し、離れた場所に送って、多くの人が見たり聞いたりできるようにするシステム」

※この定義は、現在、放送やテレビ(の制度)に含まれないインターネット放送(テレビ)も含んでしまうことに注意。厳密には、上記の言い方に「のうち、多くの場合は国単位で放送制度として認められ運営されているもの」とでも付け加えればよい。

詳しくは以下を熟読のこと(比較的若い放送局員むけに話した内容)。

テレビの原理と放送局
(テレビとは? 地上放送局とは?)


キモは、電気信号(映像・音声)への変換、みんなに送信。

●放送(とくにテレビ)とインターネットとの違いは?

両者の違いを吟味することは、放送やテレビを知るうえで、また過渡期にあるネットの報道を考えるうえで、おおいに役立つはずだ。

《学生意見まとめ》
テレビは一方向(1対多)、ネットは双方向(多対多)。
テレビはプロがつくる、ネットは誰でもつくれる(コンテンツ)。
テレビは大規模、ネットは大~小規模さまざま(施設、コンテンツ)
テレビはターゲットが広い・あいまい、ネットは狭い・細分化。
テレビは一回きり、ネットはSNSなどで拡散。
テレビは免許あり、ネットは免許なし。
テレビはコンテンツ数が少ない、ネットは膨大。

詳しくは以下を熟読のこと。

インターネット(パソコン)と放送(テレビ)何がどう違うか?

【坂本 衛】

第2回 日本語とはどういう言語だろう? 2017-04-21


●日本語とは?

・主に日本国内や日本人同士の間で使われている言語
・系統不明な「孤立言語」
 (アルタイ語族? 南島語族? それらの混合?)

ネットユーザー統計
日本語の起源(Wiki)
ウラル・アルタイ語族(同)※現在では別のものとして分類
オーストロネシア語族(同)

●日本語の特徴は?

・膠着語(言葉に活用語尾や助詞の類いがくっつく a→a+x)
 ⇔屈折語(くっつかず言葉そのものが変わる a→A)
・SOV型
 ⇔SVO
・題述構造(象は餌をやった 象は歩く 社長は私だ)が頻出する
 ⇔主述構造(象が歩く 象は歩く 私が社長だ)
・修飾語が前にくる
 ⇔修飾語が後ろにくる
・敬語(尊敬・謙譲・丁寧・美化など敬意表現)が複雑で多様で微妙
・和語・漢語・外来語が混在
・擬声語(擬音語・擬態語、オノマトペ)が多い

日本語(Wiki)
膠着語(同)

●ということは、日本語表現には……

・主語がはっきりしない(場合がある)
例)社長である。
→シチュエーションによって、意味が違う。
 「責任者は誰か?」と聞かれて……社長だ(と私は思う)。
 朝礼の第一声で……私が社長だ(わかってるね)。

・何が言いたいか、結論は何か、すぐにわからない(場合がある)
例1)
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal; and that obedience to such laws is incumbent upon all nations who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other nations.

例2)
首相は、……で、そのうえ……であるから、高く評価できる。
首相は、……で、そのうえ……であるから、高く評価できるか?
首相は、……で、そのうえ……であるから、高く評価できない。

・文の(本来の、直接的な)意味以外の意味が通じる(場合がある)
例1)ありがたい。……めったにないことである。(感謝)
例2)お待たせしました。……私はあなたを待たせたところである。(謝罪)
例3)申し訳ありません。……申しあげる言い訳が存在しない。(謝罪)
例4)謝罪したいと思います。……(謝罪?)

・曖昧/微妙/細やか/間接的/感情的/消極的/婉曲/遠回し
 といった表現が多い(ようだ)。
以上が日本語そのものの特質か、話す日本人のせいでそうなっているのか、その両面があるのかは、また別の問題。英語とだけ比べて「日本語は特殊」「曖昧」「非論理的」などと考えるのも早計。

●そこで、あれこれ考えよう

・以上のような問題は、放送や報道の日本語表現に、どのように表れているだろうか?
・それを、日本の放送や報道の問題点といえる場合があるだろうか?
・いえるならば、どうすれば問題が改善されるだろうか?

●推奨本

三浦つとむ『日本語はどういう言語か(講談社学術文庫)
送料込み400~500円で入手できるならば、一読を勧める。

【重要】
1)受講生は、坂本にメールを出してください。
2)坂本からの返信が受信できることを確認してください。PCメールをハネる設定にしている者が多いので。
3)ノートを用意し、メモを取りなさい。本ブログを書き写すようなムダはしないこと。
4)前回と今回のブログにコメントしなさい。次回以降も同様。
5)なお、以下に留意のこと。『Newsweek日本版』は2010年7月、「イギリスのある調査では、アンケートに回答した企業経営者の半数が、就職希望者の未熟な面(酒におぼれたエピソードや不法行為の写真、文法の間違いなど)をフェースブック上で発見した場合、採用を見合わせると回答した」という趣旨の記事を掲載した。


【坂本 衛】

第1回 【前期ガイダンス】なぜ、いま「放送・報道の日本語表現」を研究するか? 2017-04-14


1)自己紹介

坂本衛のプロフィール(経歴)
坂本衛facebook
最近の本の仕事その1 佐藤優・田原総一朗『この世界を知るための教養』(アスコム刊)
最近の本の仕事その2 榊原英資『日本国債が暴落する日は来るのか?』(ビジネス社刊)

2)この授業について

本年度シラバス
授業の目的は次の二つ。
1)放送・報道がヒドい状況だ。それらは日本語表現。だから研究する。
2)学生諸君は日本語表現が苦手(なはず)。それを学ぶことになって一石二鳥だ。

3)坂本がヒドいと考える放送・報道の例

・熊本地震報道から……「無数のブルーシート」「果てしなく続く地割れ」「完全に横倒し」「1階が完全に潰れ」
坂本Facebook記事(2016年4月15日)
坂本Facebook記事(2016年4月17日)

・鳥取大雪報道から……「スリップ防止のためか、通行止めです」
坂本Facebook記事(2017年2月13日)

・誰かの発言を右から左へそのまま伝えるのが報道の役割か? メディア=媒体=二つの間にあるもの。油絵で絵の具を溶く油をメディウムといい、色がついていると困る。報道も無色透明でいいのか?

・国旗上下の話(これは別にヒドくない。文句つけるほうがヒドい例)

4)質疑応答

・なぜ、報道する者は大げさに、過剰な修飾語(形容詞や副詞)を連ねて報じるのだろう?
(学生)誇張したいから。
(坂本)いやいや。だから、なぜ、誇張したいの?
 報道者が「すごい」と興奮し、舞い上がっている。
 自分は「すごいこと」を伝えている、と伝えたい。

・「形容詞を使うのはおやめなさい」「あなたは『美しい』という言葉を一切使わずに風景を描写なさい。『美しい』と思うのは読者です」(ナルニア物語のC.S.ルイスが、読者の手紙に答えて)
・学生Aの質問:ヒドい報道をなくしていくには、どうすればよいか?
・学生Bの質問:報道が無色透明でないならば、その色を見定めるには、どうすればよいか?

【坂本 衛】

表紙(最新ページ)へ

月めくり

≪≪ 2017-06 ≫≫
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

年月別の記事

内容別の記事

3.11巨大地震発生から

最近の記事10

最近のコメント10

主宰者から

日本大学藝術学部放送学科

●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。