テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2012年度の授業テーマは「[実践!]ネットは放送を殺すか?──ネットを理解することで、放送をより深く知ろう」。

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広告放送は必要か? 2011-12-16

【広告放送は必要か?】

●民間放送(民放)とは?

・受信料で運営される「公共放送」NHKの存在を前提として、NHK以外の放送を指す用語。
・事実上は、商業放送または広告放送(前者のほうが意味が広い。広告があまり入らない有料放送は広告放送とは呼びにくいが、明らかに商業放送)。
・現在では、公共放送に放送大学が入る。民間放送に、第三セクターによるCATVやNPO法人によるコミュニティ放送が入る。ボーダーライン上での定義は、やや曖昧。

●民放の公共性とは?

・現在の民放は、東京キー局を中心に全国ネット体制を敷いており、広域圏放送や県域放送という「ローカル放送」でありながら、「全国放送」的な存在。当然、公共的な放送であって「公共」と大いに関係していることに注意。

●実態は、営利企業による広告つきの放送

・主として広告収入によって運営されている。

・多くの人が見れば見るほど、収入が上がる。

「どのくらい多くの人が見ているか」の指標(ものさし)が「視聴率」しかない。

民放は視聴率にこだわる。

●視聴率至上主義をめぐって

・「番組づくりにおいて(NHKや放送大学以外の)放送局が1%でも高い視聴率を取ろうとする」ことを「視聴率主義」と呼ぶとすれば、視聴率主義は、良し悪しの問題ではなく、民間放送・商業放送・広告放送にとって当たり前の話。それは民放テレビの原理。
・この意味の視聴率主義は、批判すべき対象ではない。それは、八百屋が大根を1本でも多く、トヨタ自動車がクルマを1台でも多く売ろうとするのと同じ。それを批判する者は「どうかしている」。

・視聴率主義と似ているが、「番組づくりにおいて放送局が1%でも高い視聴率を取ることを至上の題として、なりふりかまわず、手段を選ばずに視聴率upを図ろうとする」ことを「視聴率至上主義」と呼ぶとすれば、これは批判の対象。それは、八百屋が腐った大根を売りつけたり、自動車メーカーが欠陥車を売りつけたりするのと同じ。
・視聴率upを図るあまり、公共的な役割を忘れたり、過度に刺激的・扇情的な表現を使ったり、事実をねじ曲げたりすれば、これは徹底的に批判しなければならない。

・以上の「視聴率主義」と「視聴率至上主義」を混同し、的ハズレの主張をする人々が多い。
・テレビ局にも、混同する者がいる。たいていは、視聴率が取れないことの言い訳。
・現行の視聴率調査に問題があることは、また別の話(例 若者むけ番組の視聴率はハッキリ実態より低く出る)。

【この項は、授業で言わなかった追加】
・ドキュメンタリーの中には、「どうせ視聴率は取れないから」と、よりおもしろく、より視聴率を稼ごうとする努力を放棄しているものが、少なからずある。戦争・原爆・差別(部落・在日・ハンセン氏病)・病気(老い・痴呆・障害者)・貧困を取り上げさえすればドキュメンタリーになると思っている者が多すぎ、パターン化しすぎていてつまらない。
(ギャラクシー賞報道活動部門委員長を4年間やった者がいうのだから、間違いない!)

●「テレビは視聴率にこだわるから低俗になる」のウソ

・低俗=趣味・考え方・傾向などが下品で程度の低いこと。下品で俗っぽいこと。程度が低く、趣味の悪いこと。
・過去の高視聴率番組100や1000をチェックすればわかる。低俗な番組は、ほどんど含まれていない。低俗では高視聴率を取ることはできない。
・当たり前! ベストセラーも同様。マンガは俗っぽく、専門書よりは程度が低いとしても、何千万部も売れているマンガが、下品だったり趣味が悪かったりするわけではない。エロ・グロ・ナンセンスマンガの発行部数は、手塚治虫・鳥山明・井上雄彦といった作家たちのマンガより、はるかに少ない。

●視聴率が下がってきた→広告収入が減ってきた

・30%超えのドラマは、ほとんど見かけない。
・視聴率がくるのは国民的なイベント、大事件。ドラマでは、少なくなってきた。
・日本の広告費(電通)を調べよ。
・ひところ(1997~2006年の10年間)のテレビ広告費はざっと2兆円、GNPの0.3~0.4%などと言われた。それが落ちている。

06年2兆0161億円▲1.2%……番組0.8% スポット▲2.9%
07年1兆9981億円▲0.9%……番組8773億円▲0.6% スポット1兆1208億円▲1.1%
08年1兆9092億円▲4.4%……番組8656億円▲1.3% スポット1兆0435億円▲6.9%
09年1兆7139億円▲10.2%……番組7596億円▲12.2% スポット9543億円▲8.6%
10年1兆7321億円△1.1%……番組7132億円▲6.1% スポット1兆0189億円△6.8%

・番組広告費(「この番組は××の提供でお送りしました」と出るCM収入)の大きな落ち込みに注意。番組内容と関係ない、CM告知だけを狙った(新聞に入るチラシ的な)CMが増えている。

日本の広告費の推移

・↑テレビ・ラジオとインターネットの広告費を単純に比較してはダメ。ネット広告には、エロ、風俗、ギャンブル、貸し金、飲食など、放送で流れない広告もすべて入っているため。

・ものが売れない時代(成熟化、少子高齢化)
・IT化やグローバル化によるデフレ(物価安)
・不景気・円高
→テレビは、商品名の連呼と、インターネットに客を呼ぶためだけの広告メディアに?

●テレビで告知しなくても売れている商品を調べてみよう。

・口コミやネットで評判になり、在庫切れの人気商品(お米パン製造器)
・高級品(ベンツ、高級化粧品、億ション)
・ネット販売が定着しているもの(DELLパソコン)
・訪問・対面販売が定着しているもの(クルマ、医薬、老舗の保険)
・クルマCMは「新車が出た!」か「安い軽自動車」以外、あまり見かけなくなった。なぜか?

●やたらとテレビCMを打っている商品を調べてみよう。

・携帯、携帯ゲーム
・ゲーム機、テレビゲーム
・ビール(季節限定)
・永谷園、ハウス食品、缶コーヒー、カップ麺、まろにーちゃん的なもの
・洗剤、香取線香(季節限定)、消臭剤、大衆薬(風邪薬、胃薬、肩こり湿布、栄養ドリンク)
・若者むけのもの、安いもの、どうでもいいもの、季節限定で売りまくるものが多い。なぜか?

●積極的に「買ってくれ」と言っていないように見えるCMの意味を考えてみよう。

・ユニクロ、ナイキ

●企業は、テレビCMを打たなくてもものが売れることに気づきはじめた。

・北米トヨタの新車販売
・パナソニックの石油ファンヒーター探し

●民放テレビは、明らかに長期低落の道をたどり始めた。

・15~20年後には、存在しないテレビ局があるはず。
・ただし、影響力は削がれるが、なくなるとか、ネットに置き換わるとかいうことはない。

【坂本 衛】
 
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公共放送NHKに期待する役割 2011-12-09

●本日の授業は、放送学科助手の鈴木渡さんが代行してくれます。

●授業開始時に現れ、原稿用紙を配ってくれますので、以下のテーマで小論文を書いてください。

【テーマ】公共放送NHKに期待する役割
【文字数】400字詰め原稿用紙3枚以上(2枚と1行なんてケチなことをせず、たくさん書こう!)
【説 明】授業で話したこと、参考リンク先の内容その他を踏まえ、現在の自分のテレビ視聴を前提として、NHKに期待する役割を自由に論じる。何も期待しないなら、それはそれでかまわないが、なぜそうなのかを論じること。期待する役割を果たすためにNHKに必要なことなんかも、書くとよいかも。
【注 意】1行目にテーマ、2行目下のほうに名前、3行目下のほうに学年と学籍番号を書くこと。

●鈴木助手は授業終了直前に再び現れるので、原稿を提出してください。

●どうしても授業時間内に仕上がらなかった者は、可及的速やかに鈴木助手に提出のこと。

★★★成績に関係する論文については、2011-11-27記事をチェック!!★★★

【坂本 衛】

【番外篇】立命館大学 報道ジャーナリスト養成塾 公共放送NHKとはなにか?【オマケ】 2011-12-08

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立命館大学(びわこ・くさつキャンパス)
報道ジャーナリスト養成塾

公共放送NHKとはなにか?

2011年12月8日 坂本 衛(ジャーナリスト)
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0.自己紹介(略)

・すべてを疑え!! MAMO's Site→http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/profile.html
・1996~『放送批評』編集長、1997~2004『GALAC』編集長、2005~『オフレコ!』副編集長
・2007~2010放送批評懇談会ギャラクシー賞報道活動部門委員長、2009~田原総一朗ノンフィクション賞審査員(映像部門)、2010民放連賞審査員(東京地区、報道番組)など
・坂本衛『「地デジ化」の大問題』(イースト・プレス刊、6月)
・山田法胤『ブッダに学ぶ とらわれない生き方』(同、7月)
・堀江貴文+田原総一朗『ホリエモンの最後の言葉』(同、7月)
・辛坊治郎+高橋千太郎『放射能の真実』(アスコム刊、9月)
・竹中平蔵+中田宏『告発 ニッポンの大問題30!』(同、9月)
・古賀茂明+田原総一朗『決別!日本の病根』(同、11月)
・榊原英資『「通貨」から読み解く世界同時恐慌』(同、12月22日)

1.公共放送NHKとは?

●NHK(日本放送協会)とは?
・NHKについて、どんなことを知っているだろうか?
・NHKのイメージを話し合おう。そのイメージをもたらしたものは何だろう?

●公共放送とは?
・「公共放送NHK」という。では、日テレやフジは公共的な放送ではないのだろうか?
・少なくとも「国営放送」ではない。では、「公共放送」とは何だろう?

2.日本の放送導入を振り返る

●放送は86年前にラジオでスタート
1925(大正14)年 社団法人東京放送局が初のラジオ放送。大阪放送局・名古屋放送局が続く。
 放送の機能は「文化を国民に均分」「慰安によって家庭生活を革新」「国民の教養を養う」「経済機能を敏活にする」
1926年 逓信省指導下に3放送局が統合され、日本放送協会(NHK)が誕生。
 放送を規律したのは「無線電信法」(さらに逓信省令「放送用私設無線電話規則」、「放送用私設無線電話監督事務処理細則」)

●放送導入時のラジオの位置づけ
逓信省(政府)→無線電信法(電報や電話など公衆電信を政府の一元管理統制下に)→ラジオ放送(公衆電信の一つという位置づけ)→実際の担当はNHK(独占)

・ラジオ設置者は逓信局長の「聴取無線電話私設許可書」が必要。受信料(聴取料)は月1円。
・国営放送でないかたちでNHKを官僚統制下においた狙いは何だろう?
・放送の歴史と戦争の歴史を重ね合わせ、気がつくことをまとめてみよう。
 (表づくりが極めて有効。左に放送史・右に戦争史を書き、関連を探る)

3.戦後の放送改革を振り返る

1950(昭和25)年 電波三法(電波法、放送法、電波監理委員会設置法)
 特殊法人日本放送協会が発足→「公共放送」
1951年 正力松太郎「日本テレビ放送網」構想→「民間放送」
1952年 電波監理委が日本テレビに予備免許を出し、廃止
1953年 2月にNHK、8月に日本テレビが放送開始

・第二次世界大戦の終結(日本の敗戦)後、アメリカがやったことは何か?
 日本にとってどんな意味があったかを考えよう。
・日本の民主化を強く要請・主導したアメリカ(GHQ)は、放送をそのツールとして使った。
・放送の仕組みはアメリカが教えた。例)15分刻みの編成、ラジオ欄、ラジオドラマ。
・日本の独立(の回復)は1951年。電波三法が占領中に成立したことに注意。

【参考】放送の歴史「放送法制定までの経緯」1945~50
    http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/data/hoso1945.html

●放送法
・日本の放送を規律する法律。同時にNHK設置法。
・第1条がきわめて重要。よく吟味し、その意味を考えること。第1条「放送の不偏不党」と第3条2「政治的に公平」の違いを理解しよう。
・第15条 協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送(国内放送である基幹放送をいう。以下同じ。)を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び協会 国際衛星放送を行うことを目的とする。

・第64条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

4.NHKの役割が変わってきた

・「あまねく」目的の達成、形骸化
・多チャンネル多メディア化
・インターネットの登場、その高度化
・モバイルメディア(ノートPC、携帯)の発展
・漠然とした「負担金」「準税金」から「対価」としての受信料へ

【参考】テレビの原理と放送局
    http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/tvtoha.html

5.公共放送の危機とNHKの暴走

【参考】NHKに政治介入。政府高官が圧力・干渉、番組内容を改変。受信料問題に影響も。ETV「裁かれた戦時性暴力」で http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/nhk2.html

【参考】NHK受信料問題とは? 曖昧・受信料をどうする? NHK不祥事と「受信料不払い」(支払い拒否)拡大の経緯 http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/nhk.html

【参考】NHKはどこへ行く? ~放送メディア・公共放送の危機~
    http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/nhkdoko.html

・「受信料を払わなければ裁判沙汰に」とNHKの暴走が始まった。
・受信料滞納の裁判。
・受信未契約の裁判。
・これが望ましい公共放送のあり方といえるだろうか?

6.質疑応答

以 上

公共放送(NHK)は必要か?(つづき)、広告放送は必要か? 2011-12-02

【公共放送(NHK)は必要か?(つづき)】

●公共放送NHKは、「公共放送」としての役割を果たしているか?

・長く続いた自民党一党支配の時代は、少なくとも政治的にはハッキリ「御用放送」の役目を果たしていた。
・NHKのみならずNHK・民放テレビ、郵政省は、自民党田中派の支配下にあった。
・田中角栄とは何か?

放送事件史「田中角栄」≪前編≫――大量免許でマスコミ支配(坂本衛の執筆記事)

放送事件史「田中角栄」≪後編≫――メディア支配構造の完成(同上)

・NHKの果たすべき(NHKに期待される)役割が、50年前とは違ってきた。どう違ってきた?
・受信料問題とは? 公共放送の危機とは?

NHKに政治介入。政府高官が圧力・干渉、番組内容を改変。受信料問題に影響も。ETV「裁かれた戦時性暴力」で(同上)

NHK受信料問題とは? 曖昧・受信料をどうする? NHK不祥事と不払い(支払い拒否)拡大の経緯(同上)

NHKはどこへ行く? ~放送メディア・公共放送の危機~(2008年2月8日に日本放送労働組合[NHKの組合]中国支部で坂本衛がおこなった講演レジュメ)

・「受信料を払わなければ裁判沙汰に」と暴走しはじめたNHK
波動(11年10月28日執筆の某新聞コラム)

坂本 衛

 NHKが、静かなる〝暴走〟を始めた。
 一つは、受信料滞納の裁判沙汰だ。簡易裁判所に申し立てた支払督促は、06年11月から始まり、11年9月末までに1986件。
 中には少数だが、地裁への強制執行手続き申し立てもある。
 強権で知られた海老沢勝二元会長すら、かつて筆者に「公権力による罰則は採らない。国民との信頼関係だけをよりどころにする」と断言した。その信頼関係をNHKの側から破った暴挙だ。
 そもそも何万円も受信料を滞納するのは、高所得者ではない。職員の平均年収が1200万円近いNHKが、貧乏人を裁判所に訴えて見せしめにする性根が、おぞましい。
 未契約者はタダで見放題だから、不公平は度を越している。受信料より大切な支払いと思える税金、健保、年金などを滞納したときの役所の対応と比べても、NHKの乱暴狼藉ぶりは目に余る。
 暴走のもう一つは、自分で10%と約束した受信料収入の還元を、7%でごまかそうとしていることだ。
 震災被災者の受信料免除は、阪神・淡路でも実施した公共放送として当然の責務。震災後の緊急投資も、公共性の高い会社はみんなやっている。「以上を加えれば10%」とは、詭弁もはなはだしい。
 自分に入るカネを払わない者を裁判沙汰にする一方で、自分が出すと公言したカネを値切ろうとは……。
 しかもNHKは、地デジが映らない世帯をBSに誘導して衛星契約を結ばせ、史上最大の受信料収入6598億円(10年度決算)を上げた。この不景気に5年連続の増収だ。
 コストが増えず受信料だけ増えるBSはNHKには濡れ手に粟。それを見ざるをえない人が多いのは、準備が整わないまま地デジ移行を強行したからだ。
 これは焼け太りというのか、火事場泥棒というのか。
 NHK職員に「やりすぎでは」とか「恥ずかしい」という感覚はないのだろうか。
 静かでも暴走は暴走だ。暴走を止めなければNHKは早晩、国民から見放され、衰退し始めるだろう。これが筆者の見立てである。
 (さかもと・まもる ジャーナリスト)

●公共放送NHKは、どうあるべきか。議論しよう。


【広告放送は必要か?】

●民間放送とは?

・「商業放送」「広告放送」のほうが、より実態に即した用語。「民間放送」はNHKあっての言葉。
・昔は「国鉄・私鉄(民鉄)」といった。国鉄がJRとなって(民営化して)からは、あまりいわない。
・「民放」がNHKとセットの存在であるならば、役割分担があり、民放のNHKとは異なる果たすべき役割があるはずだろう。それは何か? 以下、次回。

≪緊急告知!!≫
 12月8日夜に滋賀県出張が入り(遅くまで会合があり京都泊)、9日14時~前米国務省日本部長(3月まで沖縄総領事)ケビン・メア氏取材が東京であるため、9日の授業はキツい。
 そこで、授業はやりますが、以下のテーマで授業時間内に小論文を書き、鈴木助手に提出してください。

 【テーマ】公共放送NHKに期待する役割
 【文字数】400字詰め原稿用紙3枚以上

 授業で話したこと、参考リンク先の内容その他を踏まえ、現在の自分のテレビ視聴を前提として、NHKに期待する役割を自由に論じてほしい。何も期待しないなら、それでかまわないが、なぜそうなのかを論じること。

★★★成績に関係する論文については、2011-11-27記事をチェック!!★★★

【坂本 衛】

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われわれにテレビは必要か?(論文課題ほか) 2011-11-27

【超重要】論文課題ほか

●放送特殊研究Vの成績は、授業への出席回数、授業での発言(回数と内容)、論文(当ブログで公開)を総合的に判断してつけます。

●出席回数が著しく少ない者は「大論文」を書いて挽回するように。

●12月の授業は補講を含めて3回あります。2日、9日、16日。

●久しぶりに時間が取れたので、ブログデザインを変え、upがまだだった記事もup中。



【課題】……以下の二つとも、単位を出す最低条件。3年・4年共通。

【その1 論文課題】
論文「3.11東日本大震災とテレビ──私の体験から考える」を書き、坂本までメールすること。論文執筆にあたっては、以下の条件を熟読せよ。

【1】次の4部構成(4章立て)とし、それぞれに適当な小見出しをつける。

(1)3.11の大地震の瞬間、自分はどこで何をしており、どう行動したか。何を考えたか。周囲の状況や、家族・友だちなどの様子はどうだったか。家に帰ることができたのか。その後しばらくの様子、などなど。
(2)3.11(または発生2~3日間の)のメディアとの接触状況。テレビ、ラジオ、携帯などを、どう使ったか。うまく使えたか。どう役立ったか。とくにテレビ放送は何を伝えていたか。それをどう評価するか。
(3)その後の原発報道、被災者報道、救援報道、さらに今日までの放射能汚染の拡大報道、復興報道など、主としてテレビ放送の報道を、どう評価するか。どこがよく、どこがダメか。
(4)以上を踏まえて災害報道の視点に立つとき、「われわれにテレビは必要か」という問いにどう答えるか。ネット、ラジオ、新聞、書籍その他のメディアの役割、その評価や批判を交えながら、自分の考えをまとめる。

【2】文字数は6000~8000文字(全角換算。400字原稿用紙15~20枚)。ワープロソフトで数えよ。この範囲にない論文は、単位を出す対象としない。ブログ掲載を前提とするので、段落冒頭は全角1字下げ、段落と段落の間は1行アキ(改行)、数字は半角文字を使うこと。

【3】送り先……坂本のメールアドレスまで(坂本サイトの全ページ末尾からメールを打つことができる)。必ずテキストファイルを添付のこと(メール本文への張りつけでなく)。ファイル名は半角小文字で「htkv+月日+自分の下の名前」とせよ(例 htkv1127mamoru.txt)。

【4】締め切り(成績を教務課に提出する締め切りによるので厳守!)
 4年……2011年12月19日夜24時(12月20日0時)
 3年……2012年1月31日夜24時(2月1日0時)

【5】論文は、届いた日付けで当ブログ記事として掲載し、タイトルに執筆者名を記す。ある程度長い文章だから、ちゃんとワープロソフトを使って書き、念入りに推敲や校正を重ねること。日時、場所、局名・番組名などを具体的に、わかりやすく書くこと。とくに考えでなく体験を書く部分は、ディテール(話の細部)を大切に。たとえば「高層ビルにいた」ではなく「新宿西口にある何階建て高層ビルの何階の窓際にいた」と書くとか、携帯がつながらなかったらどこの携帯か書くわけだ。

【6】質問があれば授業中に。坂本から下書き段階のものを読んだ意見を聞きたい者は申し出よ。



【その2 ブログへのコメント】
4年は2011年12月16日(金)の記事に、3年は2012年1月27日(金)の記事に、1年間の授業全体をふり返ってのコメントをつけること。なお、ヨイショは無用。

●卒業を予定する4年生は、とくに注意のこと。授業を取っているのに出席したのをあまり見たことがないという友だちには、ちゃんと伝えるように。

【坂本 衛】

公共放送(NHK)は必要か? 2011-11-25

●公共放送とは?

●NHKとは?

●受信料で運営。広告放送(日本では「民間放送」と呼ぶ。その意図に注意)ではない。

●日本の放送導入を振り返る(86年前にラジオでスタート)

【1925年】
社団法人東京放送局が初のラジオ放送。大阪放送局・名古屋放送局が続く。放送の機能は「文化を国民に均分」「慰安によって家庭生活を革新」「国民の教養を養う」「経済機能を敏活にする」

【1926年】
逓信省指導下に3放送局が統合され、日本放送協会(NHK)が誕生。放送を規律するのは「無線電信法」(さらに逓信省令「放送用私設無線電話規則」、「放送用私設無線電話監督事務処理細則」)

【この段階のラジオの位置づけ】
逓信省(政府)→無線電信法(電報や電話など公衆電信を政府の一元管理統制下に)→ラジオ放送(公衆電信の一つという位置づけ)→実際の担当はNHK(独占)

・国営放送でないかたちでNHKを官僚統制下においた狙いは?
・放送の歴史と戦争の歴史を重ね合わせ、気がつくことをまとめてみよう
 (表づくりが極めて有効。左に放送史・右に戦争史を書き、関連を探れ)

●戦後の放送改革を振り返る

1950年 電波三法(電波、放送、電波監理委員会設置)
      特殊法人日本放送協会が発足★★★これが「公共放送」NHK★★★
1951年 正力松太郎「日本テレビ放送網」構想
1952年 電波監理委が日本テレビに予備免許を出し、廃止
1953年 2月にNHK、8月に日本テレビが放送開始

・アメリカ(GHQ)が民主化を強く要請・主導。放送を日本民主化のツールとして使った。
・戦後、アメリカがやったことは何?
→武装解除、農地改革(「農地解放」「農地革命」ともいうべき大改革)、財閥解体、公職追放、極東軍事裁判、労働三権……etc.
・放送の仕組みは、すべてアメリカが教えた。15分刻みの編成も、ラジオ欄も、ラジオドラマも。
・日本の独立(の回復)は1951年。電波三法が占領中に成立していることに注意。

放送の歴史「放送法制定までの経緯」1945~50

●放送法

・日本の放送を規律する法律。同時にNHK設置法。
・第1条がきわめて重要。よく吟味し、その意味を考えよ。第1条「放送の不偏不党」と第3条2「政治的に公平」の違いを知れ。

放送法

【坂本 衛】

高齢者・障害者・一人暮らしとテレビ(テレビは必要か、テレビは彼らに応えているか) 2011-11-18

【高齢者とテレビ】

●高齢者とは

・世界保健機関 (WHO) の定義では「65歳以上の人」。
・2010年9月15日の65歳以上人口推計は2944万人(19日総務省発表)。
・80歳以上は827万人で、愛知県736万より多く大阪府881万に迫る。
・高齢化率は1935年4.7%(21人に1人)、2007年21.5%(5人に1人)、2010年23.1%(ほぼ4人に1人)。

●高齢者むけの番組は多い・少ない? 高齢者は満足している?

・少ない。とりわけ民放プライムは皆無に近い。
・高齢者は若者むけ番組を、とくに不満もなく見ている(学生A)
・高齢者は見るべき番組が少なく、テレビに不満を抱いている(学生B、坂本)

●なぜ、高齢者むけ番組が少ないか?

・テレビの「ビジネスモデル」による。民放のビジネスモデルは「視聴者が最大のとき、売上高が最大」しかも「その視聴者はテレビ広告の対象である」との条件付き。
・高齢者の数は多いが、広告の対象ではない→高齢者むけ番組のスポンサーがつかない→高齢者むけ番組が作られない。
・広告の対象ではない例
 そもそも高齢者は退職者で、年収が低い(年金暮らし)→物を買わない。
 そもそも高齢者は最近目立つ広告(携帯、携帯ゲーム、ゲーム機など)の対象ではない。
 高齢者が車を買う場合は、20~30年前からトヨタ車、日産車、ホンダ車と決めている→広告効果なし。
 高齢者の大部分は家を買わない。すでに持っているか、一生借家住まいか→広告効果なし。
・ビジネスモデルが民放と異なるNHKは、実は高齢者番組を作ることができる
 →高齢者は受信料を払っており、受信料を取りたいのは若者層→若者番組に傾斜→高齢者番組を作らない。

特集 年寄りをナメるな!テレビ [座談会] 見る番組がない!時をムダにしたくない(『GALAC』1998年10月号/No.17)

地デジが高齢者を切り捨てた件(地上アナログ放送「終了延期」プロジェクトのブログ)


【障害者とテレビ】

●障害者とは

・障害者基本法(第2条)の定義では、「身体障がい、知的障がい又は精神障がい(以下「障がい」と総称する)があるため長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」。
・全国の在宅身体障害者数(2006年7月1日現在)は、348万3000人と推計。平成18年身体障害児・者実態調査結果(2008年3月 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課)による。

●障害者むけの番組は少ない。

・障害者の数が少なく、テレビのビジネスモデルにマッチしないため。
・少数者により深く情報を提供できるのは専門放送(CS、CATVなど)やネット。
・障害者は一般に就労に制限があるうえに医療費負担が重く、可処分所得が少ないと思われ、有料放送である専門放送は障害者を顧客と見なしていない(ディスカバリーチャンネルには障害者を扱うすばらしい番組があるが、海外製)。ネットは発展途上で、障害者には使い勝手が悪すぎる。

地デジが障害者を切り捨てた件(当ブログ「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求める記者会見3月4日参院議員会館★全映像★ 視覚障害者の発言を聞け)


【一人暮らしとテレビ】

●一人暮らしとは

・1人暮らしの世帯(単身世帯)数は1588万5000世帯。全世帯数5092万8000世帯の32.1%。3割超は初。10年10月国勢調査の抽出速報結果(総務省2011年6月29日発表による)。
・なお、1世帯当たり人数は過去最少の2.46人。世帯数は増え、世帯当たりの人数は減っている。
・単身世帯は多様。高齢者独居世帯は400万世帯以上。ほかに単身赴任者、未婚者や若者、学生、外国人などさまざまで、テレビとの関連をひとくくりに論じることはできない。
・ただし、一人暮らしの人は「寂しい」との理由からテレビを長時間つけておく傾向が強い(学生B)。
・高齢の一人暮らしはとくに、足腰が弱く外出するのがおっくう、趣味が少ない、新しいことを覚えるのがおっくう、目も悪く書物も敬遠しがち、などの理由から、テレビを友とも家族ともしている人が少なくない。そんな人々をテレビが切り捨てているのは大問題。


【ブログup時に追加】

・以上のような問題は、編集者や取材者に手がかりが少ない(周囲に年寄りや障害者がいない)、編集者や取材者に想像力がない、取材が面倒くさい(テレビ局に行っても「やってない」という以上の情報をもらえない)、共感を得る人が少ない(年寄りや障害者が読者対象ではない)などの理由により、新聞・雑誌・ネットで取り上げられることはほとんどない。
・若者たちが集う巨大掲示板でも、こんな問題が論じられることはあまりない。
・メディアが取り上げないと、問題が存在しないも同然なのは、原発問題などと同じ。

【坂本 衛】

本日休講(徹夜するも締め切りに間に合わず) 2011-11-11

本日休講です。
徹夜するも締め切りに間に合わず。
誠に申し訳ない。

【坂本 衛】

本日休講(日藝祭のため) 2011-11-04

本日休講です。日藝祭のため。

【坂本 衛】

地域とテレビ 2011-10-28

●地域とテレビ

●日本のテレビ(地上放送)は、基本的に地域ごとのテレビ(ローカルテレビ)である。

・放送免許が地域(全国32のテレビ放送エリア)ごとになっている。

・「関東広域圏」……茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県を合わせた全体。
・「中京広域圏」……岐阜県、愛知県、三重県を合わせた全体。
・「近畿広域圏」……滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県を合わせた全体。
・以上三大広域圏以外に、北海道、福岡県、「岡山県と香川県」、岩手県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、石川県、長野県、静岡県、広島県、愛媛県、長崎県、熊本県、鹿児島県、青森県、秋田県、富山県、山口県、高知県、大分県、沖縄県、「鳥取県と島根県」、福井県、山梨県、宮崎県、徳島県、佐賀県(以上が32エリア)。

●「地域ごとのテレビ」となったわけ

(1)地上放送局の「物理的な」特性
地上テレビに最初に使った電波は「VHF/超短波」(山・建物の裏への回り込みが微弱。電離層で反射されず。到達範囲は主に同一の平野や盆地部など)。この電波の「物理的な」特性によって、地上放送局の性格がある程度決まってしまう。たとえばテレビ電波が小電力で日本全国津々浦々まで届くような性質であれば、今日のかたちのネットワーク系列は存在しなかったはず。

(2)地上放送局の「制度的な」特性
上記(1)の制約に加えて、その他さまざまな諸条件(たとえば地域の視聴者数、地域の資本力、政治・行政機関や既存メディアの集中度など)を勘案して下された免許条件によって「制度的な」制約を受けた。

1952年(昭和27年)7月31日に電波監理委員会が出した「テレビ免許の方針と措置」

<方針>(全文)
(1)テレビ事業は独占事業であってはならない。
(2)テレビ放送局の置局については、さしむき、東京は二局ないし三局、その他の都市においては一局または二局を適当と認め、日本放送協会の放送局と民営の放送局との併存を原則とする。
(3)テレビ放送はさしむき東京において実施するものとし、その成果を中継回線の完成を待って逐次地方としに及ぼすことを適当と考える。

<措置>(ほとんど略)
○日本テレビ放送網=予備免許を与える。

→「非独占」(複数置局)、「地方(の中心都市)単位」、「NHK・民放の併存」、「東京から地方へ」といった基本方針が、その後も大きく変わることなく継続。
→だから、すべての地上放送局は基本的にローカル放送局となった(放送エリアは関東広域、中京広域、近畿広域および都道府県域で、そのように周波数利用計画が立てられ免許が下された)。

●その後の現実(民放テレビの歴史はネットワークの歴史)

1953年 日テレ開局
1954年 ラジオ東京(現TBS)開局
1956年 大阪テレビ(現朝日放送)・中部日本放送開局→上の2局から番組受け
1958年~59年 田中角栄郵政相の一括大量免許(TBS系と日テレ系)
1968年 郵政省「1県1置局」転換、U開放・大量免許→4系列化の進行
1975年 「腸捻転解消」(仲介・仕込みは角栄の首相時代)
1986年 郵政省「4チャンネルプラン」(4局置局政策)
※例外は、基幹地区ネットのテレ東系列、独立U局、クロスネット局など。

●地上放送局(テレビ)の現状

・地上放送局は地域ごとの免許、非独占・マスコミ集中排除といった理想を掲げてスタートしたが、その後の歴史(必ずしも理想通りには行かない現実)の中で、放送局間の極端な格差が生まれた。
・この格差は、単なる「規模の大小」の違いではなく「構造」の違い。キー局と地方局を地上放送局として「一括り」にはできない。地上放送局は、おおむね下の3つ(数字はテキトー)に分かれる。

東京キー局……売上高3000~2000億円以上、社員数1000人以上、自社制作率10割
大阪準キー局……800~600億円、数百人以下、4割
地方局……100~50億円以下、100人~数十人以下、2割以下

●そこに地デジ、衛星、ネットetc.

・カネがかかる地デジ・衛星は東京キー局主導。
 →キー局支配の強化。
・ネットは全国どころか全世界共通。そこで流れる映像に東京も地方も関係ない。
 →テレビがネットで流れれば(いまは流れていない)、地方局は潰れる。
・地方局の衰退(制作力、取材力の衰退)、統合再編が避けられない。
・いま、地域にとってのテレビの存在意議が問われている。

【坂本 衛】

災害とテレビ(その2) 2011-10-21

●災害とテレビ

【学生D】

・3.11の瞬間は、白金台の実家で録画ビデオを見ていた。4時から聞きたいものがあったのでラジオもつけていた。揺れ始めたのでビデオを一時停止にして3階テラスに避難。天井が落ちてくることがないから、いつも地震のときは妹とそこに逃げることにしていた。立っていられないほどの揺れだった。母と姉は1階にいた。

・揺れが収まるとリビングへ。テレビが吹っ飛んでいた。ビデオの一時停止を解除し、NHKを見始めた。その後、1週間くらいはよくテレビを見ていた。ずっとNHKばかりで民放はほとんど見ていない。地震後4日ほどは、ちゃんと寝れなかった。揺れが怖かったから。

・NHKの災害報道は、遠いところの他人事のように感じた。放射能もどうってことないと思った。頻繁にあった緊急地震速報が、録画した画面と重なってイヤだった。死者・行方不明がだんだん増えていき何千人にもなったが、やはりピンとこないというか、実感がわかなかった。「映画みたい」という感じ。その後、津波シーンなどは、あまり放送されなくなった。

【坂本 衛】

災害とテレビ(その1) 2011-10-14

●災害とテレビ

・つい最近、住む場所によって程度の差はきわめて大きい(というより、被災者とそうでない者の体験はまったく断絶していると思ったほうがよい)ものの、私たちがそれなりにリアルに体験した3.11東日本大震災。この巨大災害とテレビの関係を考えることが、とりもなおさず「災害とテレビ」について検討することになるはず。

・坂本は、テレビの東日本大震災報道はダメであった、1995年1月の阪神・淡路大震災報道と比べても話にならないお粗末なものだったと考えている。これについては繰り返さない。坂本サイトを参照のこと。

・授業では学生諸君の体験を語り、その中でテレビをはじめとするメディアの役割を考えてほしい。

【学生A】
・当日は新宿にいた。屋外ディスプレイ(ヤマダ電機LABIの)で映像を確認し、何が起こったかある程度わかり、ものすごく安心できた。ホッとした。千葉コンビナート火災、NHKの報道など、夜8時頃。
・1セグは映らず、携帯(通話)も不通だったが、地震直後にネットの情報で宮城沖で地震発生とわかった。
・原発の水素爆発は、原発に無知であったので、自分に影響があるのかピンとこず。危機感も覚えなかった。
・原発の専門家がテレビに登場し、さまざまな発言をするのを聞いて、ヤバいかなと。ただし、それぞれ深刻度が違い、本当らしいことを言っているのは少数派と思った。鵜呑みにもしなかった。
・NHKの水野解説委員と山崎記者は信頼できそうに思った。あと広河隆一さんも。自分は『週刊現代』で伊集院静さんの連載をよく読んでいて、伊集院さんを信頼しており、彼が「だれそれは信頼できる」という人は信頼できると思う。そのような信頼性の裏づけのない人のことは、あまり信用していない。

【学生B】
・当日は自宅(東村山)におり、地震直後にテレビをつけた。1時間ほどは局内カメラや定点カメラのものを除けば映像はなく、気象庁の地震情報や電話取材による情報ばかりだったと思う。
・テレビをつけっぱなしにして、ザッピングしていた。そのうち津波映像(NHKヘリの空撮)が流れ、衝撃的だった。
・その後の原発報道は、緊張感をもって見た。テレビとネット(フリージャーナリスト)では論調が違っていた。何が本当か、混乱した。テレビ報道には、「ただちに影響なし」とする東電や政府に対する批判がなかった。
・ネット情報とは、上杉隆さんなどのツイッターやラジオ。避難の遅れを批判していた。結果的にはフリージャーナリストの言っていたことが正しかったと思う。それがわかってきたのは7~8月くらい。

【学生C】
・当日は外(地下)にいた。テレビは見られず、ツイッターでM8.9の大地震発生を知った。津波が何メーターと聞いてもピンとこなかった。自分のこと(たとえば食料や水の確保)でせいいっぱいだった。六本木のコンビニではほとんど売り切れ。
・深夜0時に店(バー)に入ることができ、そこで泊まれることになった。そこでテレビも見た。津波や火災の映像を見て、何が起こったかわかり、落ち着くことができた。
・ふだんからあまりテレビを見ないので、原発事故については上杉隆さんのツイッター、京大助教・小出裕章のホームページなどから情報を得ていた。
・あるフリージャーナリストのところでバイトをしていたが、原発問題で煽る一方で、あんまりいい加減なので、そこは辞めた。現地(福島)の支援者たちとも齟齬をきたしていた。原発事故で「さあ大チャンスだ、波に乗ってやろう」感が、すごくイヤだった。

以上、坂本がざっとメモを取った。誤りがあれば、コメント欄で訂正してくれ。

【坂本 衛】


テレビ報道は必要か? 2011-09-30

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テレビ報道は必要か?
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●学生たちのテレビ報道に対するイメージ

・信用できない。疑わしい、眉唾報道が散見される。
 例)2007年11月の香川・坂出(祖母・孫娘2人)殺害事件で、明らかに父親を犯人視する報道をしていた。

・あまり見ない。NHKニュース以外みんな同じ印象(芸能、ワイドショー報道っぽい)。見るのは、みやねや、ニュースZEROとか。

・ニュース映像に音・ナレーションがおどろおどろしく入る。怪しい、危うい感じを強調している。感情面を煽っている。

・世界の動きがすぐわかる。コメンテータが胡散臭い。彼らとは距離をおきたい、と自分は思っている。

【参考】
香川・坂出3人殺害事件(Wiki)
「感情増幅」装置としてのテレビ――テレビは、なぜ感情を増幅するか?(坂本サイト)
TVニュースの価値判断 テレビ報道のなにが問題か!?(同)


●すぐ「わかる」点は全員が評価。では、テレビ報道だと、なんですぐわかる?

・映像を使うから
→映像は(活字や音声と比べて段違いに)情報量が多い。「見る」行為には説明や翻訳が要らないうえに、音声情報が付され、多くは話し言葉なのでにわかりやすい。しかも、情報全体を短く整理してある。

・電波を使うから
→速報性、同時性(生)、映像情報の全国的な同時共有(テレビ放送の最大の特質であり美点)。

・比較的安価なテレビ受像機が広く普及しており、ランニングコストも低いから


●ただし、「わかる」ことのマイナスも、少なからずある

・わかる映像にするために、編集やカットで「切り捨て」が起こる。

・カメラ映像が、すでにして意図的に「切り取られた」(ほとんどのものを切り捨てた)映像。

例1)イラク戦争のバクダッド解放でフセイン像が倒される映像……全世界に配信された映像では、民衆がフセイン像を引きずり倒したように見える。だが、画像の外側で引っ張っていたのは米軍の「装甲回収車」(戦車回収車。戦車その他の装甲ボディを利用した車両で、戦車部隊についいき、行動不能になった戦車を牽引・修理などする。タグロープや牽引具も積んでいる)。

例2)正月の皇居一般参賀の映像……カメラを設置する撮影場所があらかじめ決められており、テレビでは画面いっぱいに映り込んだ民衆が皇族を歓呼で迎えているように見える。横から見ると、広い敷地のごく一部に人々が集まっているように見える。

・何でもかんでも二項対立、YesかNoか、白か黒かにもっていく。



↑すべての物事にはグラデーションがついているわけだが、↓こう解釈してしまう。



・わからないことは「両論併記」で逃げる→判断停止、思考停止、「長いものに巻かれろ」主義。


●映像は疑似現実。「わかる」気がするが、本当にわかっているのだろうか?

・見る者は体験によって蓄積した理解の仕方によって、映像をそれなりに理解し、「わかった」気になってしまう。

例)「政治家××の乗った東海道新幹線のぞみ××号N700系が東京駅×番線ホームから×時×分に大阪に向けて発車し、次第に速度を上げていった。ホームには見送りの人が10人ほどいて、手を振るなどしていた。その8割方が男性で、みな寒いのでコートを着込んでいた」
→的確な映像であれば、以上をわずか数秒で伝えることができ、10人の顔の表情まで細かくわかる。だが、「わかる」程度は見る人による。「N700」という文字を見ても、意味がわからない人にはわからない。時計が一瞬映り込んでも見逃す人もいる。政治家××の顔を知らなければ、誰が乗ったのかわからない。

・映像に映らず、テレビが伝えない情報が、実はものすごく多い。ある事象の映像だけを見ても、同時に背景、経緯、今後の成り行き、日本の政治・経済・社会や私たちの生活にとっての意味を伝えなければ、わからない場合が多い。テレビ報道はそれらを伝えることが苦手だ。


●コメンテータは、何のためにいるのか?

・楽しくする、盛り上げる、身近でとっつきやすい雰囲気を出す、賑やかし。
・アクセントをつける、間を持たせる。
・一般人の視点から質問、意見などを述べる。
・事件のポイントを念押ししたり、ややくわしい解説をしたりする。

・ド素人で、とんでもない意見、誰でも知っているどうでもよい意見、くだらない感想などを述べる無責任な者も少なからずいることに注意。

・「井戸端会議」ふうな演出
→そもそもテレビは、全日本規模の巨大な井戸端会議である、またはその機能が大きいというのが、坂本見解。
→井戸端会議は、ビジネスの会議や官公庁の会議とは違う。多くを期待しても仕方ない。
→ただし、現実の井戸端会議が、町内のある一家の評価を決定づけてしまい、いじめたりつまはじきにしたりするというようなことが、テレビでも起こりうる。全国規模で起こってしまうことに注意。


●昔はコメンテータという者はいなかった

ストレートニュース(NHK定時のアナが読むニュース)

キャスターニュース(TBSの夕方ニュース)

キャスター+女の子+コメンテータのニュース(ニュースショー)

コメンテータが数人並ぶワイドショー(のニュースコーナー)


●ニュースのショー化、バラエティ化、わかりやすいニュースへ

・必然ともいえる以上の流れで、失われたものをいかにすくい取るかがテレビ報道の課題。

・テレビ報道が自律してその課題に対処できないのであれば(もちろんできていない)、テレビ以外のメディアに目を向けテレビのウェイトを小さくするなど、視聴者の側で対処が必要。


【坂本 衛】

テレビとネットの比較(アイディア出し)(授業ノートby横山拓輝) 2011-07-15

講義テーマ「テレビとネットの比較(アイディア出し)」

テレビとネットを比較するにはどのような観点があるのか案を出し合い、それを検討した。

以下に記すのは、講義内で挙がった比較の観点とその検討結果である。


【入力装置(インターフェイス)】の比較

テレビ:小、ボタン少、簡易、リモコン

ネット:大、ボタン多、複雑、キーボード、マウス、モニター


【操作性】

テレビ:良い(誰でも簡単。幼児、子どもでも)

ネット:悪い(技量必要。若者中心)


【画質】

テレビ:良い

ネット:悪い


【画面】

テレビ:大

ネット:中、小


【ネット】

テレビ:つながらない(メールなし)

ネット:つながる(メール、検索、ホームページあり)


【コミュニケーション】

テレビ:とれない

ネット:相手ととれる


【コンテンツ】

テレビ:番組、CM

ネット:ホームページ等(ブログ、ツイッターを含む)


【コンテンツの作り手】

テレビ:放送局(専門家、プロ)

ネット:全ての人、企業、公的機関等(プロ・アマ両方)


【利用者数】

テレビ:多

ネット:テレビよりは少ない


【利用者の属性】

テレビ:前世代

ネット:若者中心(高齢者や子どもはあまり使わない)


【環境】

テレビ:複数人で利用可

ネット:基本的に一人で利用


【場所】

テレビ:居間、寝室等

ネット:机上、モバイルであればどこでも


【利用料金】

テレビ:NHK受信料(約2千円)+民放(無料)

ネット:約5千円


【端末コスト】

テレビ:32インチで約5万円

ネット:30インチのモニター(約7~8万円)+PC本体(約3万円)=10~11万円


【端末の寿命】

テレビ:約10年

ネット:約3年(OSの更新のため)


【コンテンツの数】

テレビ:少(約2000点)

ネット:多(数億点)


【セキュリティ】

テレビ:高

ネット:問題あり


【範囲】

テレビ:国単位

ネット:国境関係なし


【ビジネス】

テレビ:限定

ネット:限定なし、みんな可


【規制】

テレビ:ある

ネット:ない


【伝送路】

テレビ:無線+有線(CATV)

ネット:有線(ADSL、光ファイバー)+無線

【横山拓輝】


---------------------------------------------------

【坂本から】

●上記のまとめは、ざっとアイディアを出していった粗っぽい比較。あくまで議論や検討の出発点と考えるべき。前世代は全世代。【コンテンツの数】って、どういう計算だっけ?

●以下は古いうえに作りかけだが、参考にはなるだろう。PCは多機能だから価格をテレビと単純に比較できないとか、ネットの画質は急速に向上しているとか、改めて検討すべき問題も少なくない。

インターネット(パソコン)と放送(テレビ) 何がどう違うか?


【番外篇】立命館大学 報道ジャーナリスト養成塾 東日本大震災とテレビ報道・放送局【オマケ】 2011-07-07

立命館大学 報道ジャーナリスト養成塾

東日本大震災とテレビ報道・放送局

2011年7月7日 坂本 衛(ジャーナリスト)


0.自己紹介(略)

・すべてを疑え!! MAMO's Site→http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/profile.html
・1996~『放送批評』編集長、1997~2004『GALAC』編集長、2005~『オフレコ!』副編集長
・2007~2010放送批評懇談会ギャラクシー賞報道活動部門委員長、2009~田原総一朗ノンフィクション賞審査員(映像部門)、2010民放連賞審査員(東京地区、報道番組)など
・坂本衛『「地デジ化」の大問題』(イースト・プレス刊、6月)
・竹中平蔵『日本経済こうすれば復興する!』(アスコム刊、4月)
・山田法胤『ブッダに学ぶ とらわれない生き方』(同、7月15日書店搬入予定)
・堀江貴文+田原総一朗『ホリエモンの最後の言葉』(同、7月21日書店搬入予定)


1.東日本大震災とテレビ報道

●「発表報道」のオンパレード
・発表報道、発表ジャーナリズムとは何か?
・悪しき発表報道の実例
→死者・行方不明者数(陸前高田市サイトと比べると)
→原発関連報道(保安院、東京電力の発表を伝えるのみ)
・大嘘をタレ流し、反省しないメディア

●なぜ、発表報道なのか?
・取材が薄い
(1)東北の地は遠く、なじみがない
(2)被災地が広範囲で、交通が分断され、燃料・食糧確保も困難に
(3)放射能もれが発生し、当局も立ち入り禁止に
(4)取材力の劣化に加えてヤル気がない
(5)中央集権テレビの弊害
→独自ネタがない
→コメンテーターにゲタを預ける以外、発表に依存するしかない
→結果的に、社会をミスリードする

●発表報道がダメな理由は?
・発表報道で、何の問題もないと思っている
・ 「メディア」の原義
・ 「ジャーナリズム」の原義
・ 「社会の木鐸《ぼくたく》」の原義
・発表元は、次の場合がありうる
(1)知らない
(2)間違える
(3)一部を発表しない
(4)ウソをつく
→発表報道では、(1)~(4)の問題を見つけられず、排除もできない

●ことはテレビに限らない
・記者発表でヨタ記事を書く大新聞
・空疎な言葉が並ぶ報道(決まり文句、取材なき形容詞)
・ 「事実」のうち「事件」(目立つ出来事、騒ぎとなるもめごと)だけを追う
→全体像が見えない
→意味の発見、価値の発見ができない(発見しようとすらしない)


2.東日本大震災と放送局

●東日本大震災とデジタル化
・「東北3県のアナログ延長は必要ない」(民放連会長、東北3県地方局)
・視聴者を見捨て、東北を見捨てるテレビ局

●何によって、誰によって立つメディアなのか?
・誰のための報道か?
・誰が「本当の客」なのか?
・なくなって本当に困るメディアか?

●「混乱の時代」「手がかりのない時代」には、歴史・伝統・体験に学べ
・すべてを疑え
・アウトプットを決めるのはインプット
・ 「違う映像」「違うジャンル」を見る
・創造力は想像力


3.質疑応答

以上

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日本大学藝術学部放送学科

●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。もちろん学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)
 

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