テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

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開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2017年度のテーマは「放送・報道における日本語表現の研究」です。

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ドラマチックな報道は不必要 2007-11-28

書き込みが遅くなりまして、すいません。
4年の成井真梨子です。
香川・坂出、3人行方不明事件について記事を投稿したいと思います。

昨夜、今回の事件で3人の殺害を認めた犯人が逮捕された。
事件発覚から12日も経過してしまっていた。

フジテレビの朝の報道番組「とくダネ」でもトップニュースとして報じ、約50分間もの時間を割
いた。

◆番組の内容
・事件の急展開に驚く現場や出演者たち。
・今まで報じられなかった義弟と被害者の祖母との関係。
・父親の心境。
・これからの捜査の行方。

などで構成される。

◆報道の疑問点

・警察は事件発覚直後からマークしていたのに、報道はされなかったのはなぜ?

・いままでのマスコミ報道はなんだったの?
これにつきる。
 
一連の報道を見ていると、誰もが「秋田小1殺害事件」とダブらせて今回の事件をとらえていたのではないかと思う。被害者の父親は執拗にマスコミからインタビューを求められ、それに困惑したり、イラだつ様子はいかにも事件に関係している人物かのように画面に映し出されていた。
映像だけならまだしも、「事件現場に押し合った跡や、悲鳴も聞こえなかったので、身内の犯行可能性がある」の、台詞も必ず登場するものだった。
さらに、ニュース番組で見る被害者の家族相関図には被害者と父親の顔写真だけがでている。(これは犯人逮捕後の今でも)

悲劇の母親を装っていた畠山鈴香被告の言動が記憶に新しい人なら、「オヤジさんが怪しいのかな・・・・」と、推理しても仕方がない報道だった。

ところがどっこい。

逮捕されたのは被害者の義弟。今までの報道では登場しなかった人物だった。
(とくダネでは25日に義弟の息子に取材をしているがオンエアされたかは不明)
思わぬ急展開と番組では報じていたが、そう思ったのはマスコミや私たちだけで

今朝の番組では
小倉氏「警察は当初から怪しいという風に睨んで捜査を順調に続けてたとみていいんですかね」

現場の岸本氏「そうですね。やはり金銭トラブルがあったということと、川崎容疑者が事件発覚後に行方があまりつかめなかったことから、浮上したんじゃないでしょうか」

え、そうなの??
事件発覚後から警察は父親ではなく、他に睨んでいる容疑者がいた。
報道で取りだたされたのは父親だけ。
どんな身内がいるかぐらい簡単に調べることが出来るのに。

犯人が逮捕され、初めての今朝の番組では「共犯がいる可能性もある」と報じ、まだまだ父親へのマークを続ける姿勢のようだった。

◆どうあるべきだったか
マスコミは事実の報道ではなく、ドラマになる画を報道にしていたように思う。
事件のシナリオを演出して、それに当てはめるように取材して編集して、
視聴者を飽きさせないことを重視しているようだ。

裏付け取材を徹底していれば、容疑者の可能性をもっと広められたはずで、疑いの目が父親一人に集中することもなかった。
それだけでなく、報道番組の性質(ドラマチックに事実を創作する性質)そのものが変わらなければ裏付け取材をしてもオンエアされないということになるだろう。
そして、その性質を生んだのは、私たち視聴者であることも忘れてはならない。


《番組情報》
番組名 とくダネ!
放送局 フジテレビ
時間帯 7:59~9:55
キャスター 小倉智昭 笹井信輔  笠井 信輔 佐々木恭子

【成井 真梨子】



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本人や親、被害者側の責任は報道しなくていい? 2007-10-08

●テレビ報道でも新聞報道でも指摘できる大問題の一つは、何か事件や問題が起こったとき、組織(企業・役所・学校・病院・その他団体など)の責任や、それらがつくる現行制度の問題は指摘されるのに、その事件や問題の被害者となったふつうの人びとの責任が一切不問に付されていることです。思いつくままに例を挙げましょう。

◆神戸の私立高校生徒のいじめ自殺事件→学校はなぜ気づかなかったのかと追求されるが、親がなぜ気づかなかったかは報道されず、たぶん取材もしていない。私は、親が気づかないことを学校に気づいてくれと期待するほうが、どうかしていると思う。

◆乳母車が電車のドアに挟《はさ》まれ、そのまま発車してしまった事件→ホームに駅員が不在、車掌から見えにくかった、ドアは数センチのものを挟めば検知できるはずなどと報じられるが、閉まりかけたドアに乳母車を押して駆け込むバカ親の責任は一切報道されない。

◆エスカレーターの穴に指を挟まれ切断された事故→発生後2~3日は、国内の全エスカレーター全段に黄色い枠が描かれ、これを踏むなという注意アナウンスや掲示もしばしばなされており、黄色い枠の内側に足を置く限り事故は防げたはずという事実が、ほとんど報じられなかった。

◆妊婦を乗せた救急車が、受け入れを拒否する病院の間で「たらい回し」にされ、死産などにつながった事件→病院や産科医が少ない医療体制の不備は語られる。私は、かかりつけの医院がなぜ患者を受け入れないのか訝《いぶか》しく思っていたが、10月7日朝刊の中日新聞東京新聞で、受け入れを拒否される妊婦は、妊娠しているのにそもそも医者に一度も行っていないことが多い(8月に救急車内で死産した奈良県の妊婦もそうだった)と知った。妊娠に気づかなかった、受診するカネがなかったなど理由はさまざまでも、赤ん坊を死に至らしめた責任の一部が当の妊婦にあることは明らかだ。

◆古い家電製品が発火して焼死した事件→たとえば30年間使った扇風機が火を噴く場合、絶縁部品が経年変化によって劣化したという報道はあるが、ホコリやゴミが詰まっていたとは報道されない。テレビも煙を出したり火を噴くことがあり、部品の劣化や設計ミスが直接の原因になることもある。しかし、ユーザーが内部のホコリ・ゴミ掃除を怠ったことが発煙や発火の直接の原因になったり、それを広げる間接的な原因になるケースが、非常に多い。「5000円の扇風機の安全性についてメーカーに30年後まで責任を持て」と要求するのは、明らかに酷であり非現実的な話。社会通念上の耐用年数(まあ、いいところ10年。法定上は数年)を超過した製品の安全性は、使用者が第一義的に責任を負うべき。

◆一時盛んに報じられたシュレッダーによる幼児などの指切断事故→高い製品は、そもそも指が入りにくい設計にしてあるが、紙を入れて使う製品なのだから、絶対に隙間は必要。そして、幼児や赤ん坊の髪の毛の厚みは、紙の厚さと同等だから、シュレッダーに幼児や赤ん坊の身体の一部が挟まる事故は、原理的に避けることができない。だから、シュレッダーを幼児や赤ん坊がさわれるような環境に置く親はバカであり、子どもが事故にあえば当然、責任がある

●いくらでもありますね。時津風部屋はムチャクチャですが、週刊誌報道によれば殺された若い力士は親に「いい子になるから、迎えに来てください」という趣旨の電話を入れていたらしい。迎えに行かなかった親は、子を見捨てた責任がある。高校を中退したこの若者は、親からすれば必ずしもいい子ではなく、たぶん世間でいう「不良」だったのでしょう。親は子をもてあまし、「存分に鍛えてやってください」などといって部屋に預けたのかもしれない。学校から見放され、親からも見捨てられ、師匠や兄弟子たちになぶり殺された若者が哀れです。

●犯罪者が処罰されるのは当然でも、犯罪者は必ずしも責任者とイコールではありません。そして、事件や事故を減らすには、そのことに責任ある者の責任を正当に指摘し、その者に対策や改善を求めなければならない。

●その責任者が、ふつうの人、ふつうの親などの場合は、テレビや新聞にとってはお客さんだし、政治家にとっても票を入れてくれるお客さんですね。だからテレビや新聞も、政治家も、お客さんの責任を問う発言をあまりしないのです。しかし、私たちはみな、ふつうの人であり、ふつうの親なのだから、その責任は、誰にいわれなくても自覚しなければならない

【すべてを疑え!! MAMO's Site<日録メモ風の更新情報>2007-10-07から】 坂本 衛

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●このブログは、日本大学藝術学部(日芸またはNGと略)放送学科の授業の一環として設置しています。学外の方も自由に閲覧やコメントしていただけます。学生らの活動を厳しく、ただし温かく見守っていただければ幸いです。学生には「ブログ炎上も授業のうち」といってあります。

●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)
 

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