テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

テレビ報道を考える!! 日本大学 藝術学部 放送学科 「放送特殊研究V」ブログ

開設:2006-05-25 (通年 4単位 3年以上 選択 江古田校舎 放送学科専門科目)

日本大学藝術学部放送学科「放送特殊研究V」(担当講師/坂本 衛)のブログ。2012年度の授業テーマは「[実践!]ネットは放送を殺すか?──ネットを理解することで、放送をより深く知ろう」。

虚像の畠山被告 2006-07-22

前回私が書いた「コメントの並べ方」で畠山被告の精神面は?という話題になったので、今回の記事を書くことにしました。お昼のザ・ワイドでは『畠山被告を心の捜査官と音の捜査官が徹底分析!』という特集を組んでいた。
二人の捜査官は以下である。
□心の捜査官 犯罪心理のプロ 矢幡洋
□音の捜査官 声紋分析    鈴木松美
全インタビューを音声分析したところ鈴木氏は“ちょっと異常な性格というか今までに分析したことのないような性格”とコメントしている。
人は動揺すると周波数がクッと上がる、畠山被告の供述の中には“生きてる”とか“橋”とかの単語を話すときにクッとあがっているのだという。しかし普通の人と違うのは、畠山被告は自分でついた嘘を自らが信じて本当になってしまうのだそうだ。嘘の話を最初にするときだけ動揺し、2回3回と繰り返すうちに周波数は通常になるのだ。
矢幡氏も同様に“頭の中でストーリーを考えて緻密に行動する場合と、ポロリと事実に近いことを言ってしまう。欲と嘘を行動原理とする超単純人間という方が実像に近い”としていた。

このVTRを受けてスタジオでは二人のゲストを迎えていた。その一人常磐大学教授 諸澤英道さんのコメントが非常に興味深かった。
“マスコミでは畠山被告がとても極悪非道な人物像だとしているが、私はそこまで思わない。こういう家族内の犯罪、親子間だったり夫婦間では動機は大してないもので、衝動的に行われることが多い。誰の生活の中にもひそんでいる可能性があるのだ”と言う。
確かに、今日は優しかった、今日はどうもわずらわしい、人と接している以上そんなことは日常だ。それが犯罪にまで発展するかしないかなのだ。畠山被告のコメントの中にも自分で殺しておきながら、我に返り彩香ちゃんがいないことに寂しさを感じ、かわいそうと思う瞬間が見られるといえば、そうかもしれないなと思った。
実際に畠山被告と4回にわたって直接話を聞いていたリポーターは“私の目には悲劇の母親としかうつらなかった”とコメントしていた。
人を殺している以上何かが許されるわけではないが、マスコミの力で悪の怪物と言わんばかりのでっち上げは確かにあるかもしれないと思った。相手も人間なのだ。時に理屈ではわからない感情も生まれるかもしれない。ただ仮に彩香ちゃん殺害を後押ししたのが衝動だったとして、豪憲君殺害の動機にどう繋がるかは気になるところだ。

しかしこのザ・ワイドで私が今まで見ていた報道、情報とは違う見解が出てきてハッとさせられた。
こうして考えると今回の事件に関する報道はとても偏りがあると思った。
被害者が子供ということもあり、犯人は極悪にうつる。それをさらに加速させるような報道。
私はテレビの向こうをつい、自分達が住む現実と切り離して考えがちだ。
どんどんテレビが作り上げるシナリオにハマっていってしまう。
気をつけなければならない、そう深く思った1週間であった。


私情ではありますが、明日は用事があり直接書き込みができません。
事前に書いた記事を坂本先生にアップしていただきます。
そこで少し宣伝です。
私が今4年生と共に取り組んでいるNAPの企画で、新潟で明日から行われるトリエンナーレという3年に1度の芸術祭の応援ウェブサイトを作っています。
私はその中の美術学科の取材に当たっています。5分程度の映像を作りました。明日はまたその取材に向かいます。
まだまだアップされたばかりでこれからどんどん更新していくようですが、良かったらサイトのぞいてみてください。感想などいただけると更に嬉しいです。
http://nap.nihon-u.ac.jp/

●番組データ
番組名/ザ・ワイド
放送時間/月~金曜日 13時55分~
放送局/日本テレビ
出演者/草野仁 森富美

               【米山 明李】

供述とその検証 2006-07-19

昨日、今日と最近寒いですね…7月も中旬なのに…。
今日の「イブニング5」でも番組のトップ約14分は“記録的豪雨”についての報道でした。
長野・福井・岐阜・京都・岡山・島根の6府県で7人死亡、12人が行方不明となっています。
土曜日からずっと降り続いている雨、長野県では616ミリという強烈な数字を残しています。
観測史上1位だそうです。
各地での土砂災害、観光客は足止めをくらい、人々はみな避難しているようです。
自然の力の前では人間はいつも無力ですね。
早く梅雨が明けますように…。


昨日に引き続き畠山被告を追いかけていきたいと思います。
「イブニング5」では、畠山被告の2転3転する供述を検証していました。
□検証1
畠山被告の彩香ちゃん殺害についての新供述
「サクラマスを見に行こうと言われ大沢橋へ行った」

秋田県警は昨日会見で“被疑者は平成18年4月9日午後6時45分頃殺害した、と供述している”と発表した。
これに対しイブニング5では畠山被告は以前、釣り道具店に勤めていたこともありサクラマスを見に行く行動としては自然とし、しかし時間に矛盾を感じていた。午後6時45分という時間は日没から30分たっている。
そんな中、川の中のサクラマスが見えるのだろうか??
イブニング5では実際に日没から30分たった現場を映像として残していた。
サクラマスどころか街灯もない川原は見事に真っ暗だった。
魚を見に行くという供述はとても不可解である。

□検証2
「彩香が駄々をこねるのでイライラして橋の欄干から突き落とした」

橋から水面までは8メートル。
彩香ちゃんの体は外傷は頭部のみとされている。
8メートルの高さから岩や石が待つ川へ落とされたときの衝撃は一体どれくらいなのか?
聖徳大学の木下昭一教授は
8メートルの高さから35kgの重さの物体が落下すると
落下速度=45km/h
受ける抵抗186kg
つまり186kgもの重さが時速45kmの早さで彩香ちゃんにのしかかるということだ。
とても頭の傷ひとつじゃすまなそうである。

この二つの検証はとてもわかりやすく親切と感じた。
ある意味小学生などが見ても理解できるであろう。夕方5時の報道番組ということもあり、幼稚園や小学校の子供、その親が割りと家にいる時間だと推測される。
そこを狙ってなのか?
しかしこうした児童連続殺人は、もはや小さな子供を持つ親にとっては人事ではないな、と思った。
けれどこの数日畠山被告に関して少し詳しくなったつもりでいるが、警察も報道陣も彼女の発言に振り回されている。
今回、警察が当初事故としたことに批判が集まっているがそこに大きく関係しているのは警察犬だと報じていた。
車に乗ったりするとそこから臭いは消える、けれど川原に続く道の近くに彩香ちゃんの臭いがあり、さらに川原の側には足跡が…警察は事故とした。理由がそれだけではないにしろ、誰か車を運転する人と一緒にいた可能性やら、実際川原へ続く道には車が入れる、そういった事件への可能性を警察はあまりにも早い段階で削除してしまったように思う。
畠山被告自身にも何か大きな問題がありそうだが、今回は警察にも厳しい目が向けられていると思った。


●番組データ
番組名/イブニング5
放送時間/毎週 月~金曜日16:54から
放送局/TBS
出演者/三雲孝江、後藤謙次(共同通信編集委員)、森田正光、池田裕行、小倉弘子(TBSアナウンサー)

            【米山 明李】

コメントの並べ方 2006-07-18

第2回目は「報道ステーション」です。
約1時間の報道番組の中で、約11分報道された畠山被告について。
畠山被告のVTRコメント、並びにその他の人のVTRコメントを追ってみた。

コメント①
彩香ちゃん49日法要
畠山被告“事故か事件かもわからない今、犯人とか頭に浮かばない”

コメント②
4月19日
畠山被告“かすり傷ひとつないきれいな体でした”

コメント③
畠山被告を知る人“金がないから生んだ”

コメント④
畠山被告を知る人2“好きな人の子でもなく仕方なく生んだ”

コメント⑤
民生委員“後悔しています。私の見る目がなかったのか…” →育児放棄

コメント⑥
畠山被告を知る人“外に靴が置いてある時は家に入っちゃいけないという合図” →男性の影

コメント⑦
畠山被告を知る人2“「父の介護で疲れた。死ねばいいのに」と口癖のように言っていた”

コメント⑧
畠山被告の同級生“豪憲君は彩香ちゃんが家にいるのを見ていた。彩香ちゃんは豪憲君の家に行っていない”
→彩香ちゃんを殺害したことで豪憲君殺害の動機が??

コメント⑨
5月20日
畠山被告“彩香の事件に便乗した誰かが豪憲君を殺めてしまったのかもしれない…”

コメント⑩
リポーター“彩香ちゃんが転落したとされる川原の近くの家に警察が聞き込みをした形跡はない”

コメント⑪
4月19日
畠山被告“女刑事さんに「事件より事故の方がお母さんも救われるでしょう」と言われた”


彩香ちゃん、豪憲君、2つの事件があるからこそ畠山被告のコメントは日付を注意して見ないと少々混乱する。
報道の流れからコメントをつけている為、畠山被告のコメントは日付が行ったり来たりなのだ。
これは少し見づらいし、不親切だと感じた。そしてリポーターの存在。1度しか登場しなかったし、なぜあそこだけリポーターだったのかとても気になった。流れを少し止めてしまったかも。
コメントの内容自体は、畠山被告の人間像を浮き彫りにするものだったし、良かったと思う。
それと同時に警察の不具合も目立っているが…。
当初、彩香ちゃんの事件を事故と判断した警察。川原でも彩香ちゃんしかいなかったものと決め付け詳しい捜査をしなかった…。
そして何より女刑事の発言がとても気になる。番組批評とは関係ないが、この発言には少し苛立ちを覚えた。
まぁこれで言われているお母さんが容疑者の今となってはもうどうしようもない、呆れてしまう…。


●番組データ
番組名/報道ステーション
放送局/テレビ朝日
放送時間/月曜~金曜夜9:54~11:00
司会/古舘 伊知郎・河野 明

【米山 明李】

報道はどうあるべきなのか 2006-06-11

秋田小1殺人事件で容疑者が逮捕されてから一週間経ちました。
この一週間はとてもゆっくりとした流れだったと思います。そして、次第にこの事件についての報道は小さくなりつつあります。

事件が起こった当時は、各局でたくさんの時間を割いてこの事件を報道していました。しかし、だんだんと報道されなくなる。そして容疑者逮捕。それと同時に再び報道の嵐。容疑者が逮捕された翌朝のフジテレビ系「とくダネ!」の中でキャスターの小倉智昭氏は「(今日流した容疑者を取り囲んだVTRは)今まで放送しないでおいて、容疑者が逮捕されたら使用しようとしていたVTRであり、インタビュアーはいろいろ知っていたみたいだから・・・」と言いました。これには「既にテレビ局側では容疑者が誰だか見当がついていた」という事になります。

週刊誌では犯人報道をし続けていました。でもまだこの時点では容疑者が逮捕されたわけでもなく、その当時報道されていたものはプライバシーの侵害とも取れるものです。しかしその一方で裏では様々な事が動いていたのにも関わらず、容疑者が逮捕されるまでは報道するのを自粛するかのように大人しくしていたテレビ局。こちらにも問題があると私は思います。

推測・憶測で報道するのは非常に危険な事です。しかし、事件と容疑者逮捕の間の期間もテレビは報道をし続けるべきだったのではないかと思います。話が続かない話題は放送をカットするのか?容疑者が捕まったから、また一気に報道すれば良いのか?しかも報道されていない期間中も、マスコミは容疑者の自宅や実家に張り付いていたり待機していたわけです。これでは報道を自粛しても、まだこの時点では一般人であった容疑者の日常を侵害しているとしか思えません。そしてこの事実(普段の生活を送れないようになっていた事実)を視聴者は何も知らされていなかった・・・。

このような大きな事件が起きた時、事件の経緯や動機を伝えるだけでなく、マスコミがどのように報道しようとしているのか、どのように取材をしているのかなどの詳細も視聴者に伝える事ができれば、もっと良いのではないかと思います。そうする事で、視聴者が報道についても考え始めるきっかけが出来ると思うからです。

拙い文章でしたが、一週間読んでいただきありがとうございました。

【森 智徒勢】

週刊誌の影響力 2006-06-11

今日で書き込みが6回目になりますが、秋田小1殺人事件の話を書いていて、週刊誌の見出しやその影響力を考える書き込みをみなさんがしてくれています。そこで、今日は週刊誌の影響力について考えてみたいと思います。

・週刊誌の見出しの影響力
今回問題になっているのは週刊誌の見出しの影響力です。テレビで放送されないような事柄をあげるのもしばしばあるせいか、はたまた購買者の意欲をそそらせるためか、週刊誌の見出しは時に驚くほどオーバーです。また明らかに事件とは関係ないようなプライバシーを侵害していると思われるような記事も多々見られます。週刊誌の見出しには特徴があり、「○○か?」という疑問符を呈するところが異常に小さく書かれてあるときがあります。週刊誌だけでなく、スポーツ紙の見出しなどにも使われていますが、これは明らかに購買者の意欲をそそるためだけとしか思えません。断定と予測では、全く違うものだからです。これだけでも、見出しを見た人の印象は大分変わってくると思います。

そして、見出しが与える影響力ですが、確かに週刊誌の見出しがあるのは大都市圏にある電車などの中吊り広告です。私は様々な都市の電車に乗ったことがありましたが、驚くほど中吊り広告が無い電車もありましたし、地方で販売されている雑誌の見出しのみしか中吊りにされていない場所も有りました。
全国放送されるテレビとは違い、週刊誌の見出しを見て事件の詳細を知るの人は少数しかいません。しかし、週刊誌で取り上げられた事をテレビで取り上げたり、また週刊誌の見出しを詳しく紹介するコーナーがある番組もあります。

確かに一概に週刊誌の見出しに影響力があるとは言い切れませんが、人々の事件を見る目に何らかの影響をもたらす事は確かだと思います。

【森 智徒勢】

「被害者」と思わせたマスコミの煽り 2006-06-09

「被害者と思われていた・・・」

これは、秋田小1殺害事件で容疑者が逮捕された翌日に放送された、テレビ朝日系『スーパーモーニング』の中で渡辺宜嗣アナウンサーが発した一言です。
畠山容疑者が逮捕された翌日、ニュース番組では「悲劇の母親から加害者へ」などというテロップが沢山映し出されていました。それは、長女を亡くした悲劇の母親と言う事だけではなく、暗に『長女を殺された悲劇の母親』という言葉が含まれていたように思います。

・「警察の問題だと思わせようとした母親」
まず、米山豪憲君が殺害された日の夕方のニュース、TBS系の『イブニングファイブ』では畠山容疑者と電話を繋いでいました。そこでのやり取りの中には「豪憲君が殺された事件と彩香ちゃんが亡くなったのには何か因果関係があるのではないか?」また、「彩香ちゃんの死には疑問がある」などという内容でした。その日のニュースを見て、私は完全に「警察の怠慢だ」と思ってしまいました。

・「悲劇の母親を一緒に作り上げたマスコミ」
「悲劇の母親から加害者へ」と言う言葉の中には、畠山容疑者がマスコミを使って悲劇の母親を演じ続けていたというのも理由にあるでしょう。が、もうひとつ理由があると思います。それはマスコミも一緒に「悲劇の母親」を作り上げていた点です。電話や取材を通じて、畠山容疑者が話した事を、マスコミは疑う事もなくすべてを流してしまいました。それは「警察の問題」を挙げているようにも思います。マスコミも警察の問題だと始めのうちは思ったのではないでしょうか?しかし、一方では今回の事件で警察を追求した番組を作った局は(私が見た限りでは)ありませんでした。

渡辺アナウンサーは「被害者だと思われていた・・・」と一言言いました。
しかし、畠山容疑者の長女の死亡原因は事故死と言う見方に今のところ変わりはなく、警察もマスコミもはっきりと「長女が殺された」とは言っていません。しかし、渡辺アナウンサーが言ってしまったように、この事件を見てきた視聴者の心のどこかに「長女は殺された」という気持ちがあったのです。それはマスコミが埋め込んだものだと思います。確かに畠山容疑者は被害者の母親を演じていましたが、それをすべて報じてきたのは紛れもないマスコミです。すべてを疑うにも限界がありますが、マスコミが犯した過ちを最初からもう一度考え直す事も必要ではないでしょうか?

《番組データ》
番組名/スーパーモーニング テレビ朝日系/月曜~金曜7:30~9:55放映/司会 渡辺宜嗣・野村真季・鳥越俊太郎/
番組名/イブニングファイブ TBS系/月曜~金曜16:54~放映/司会 三雲孝江・池田裕行・小倉弘子・他/

【森 智徒勢】

情報に対する先入観 2006-06-07

これまで2回記事を書いてきましたが、様々なコメントを戴き、少々混乱してきました・・・。
この犯人が免罪冤罪だったら・・・と考えすぎてテレビを見てはいないかと思い、情報に対する先入観について書いてみました。

今週の月曜、容疑者が逮捕された翌日に、日本テレビの『スッキリ!!』で以前放送された容疑者のインタビューが再放送されていました。そのインタビューの概要は大まかに分けて二つあります。
・今回の事件で警察から疑われていると思ったことは?(事件の犯人説)
・彩香ちゃんの事件との関連性はあるのか?

私はこのインタビューを今日再び見返してみましたが、今日見た時点では「明らかにこれを放送した時点(先月の31日)で犯人視されている」と思いました。逮捕されたのが今月の4日ですので、割と早かったのでしょうか?非常にしつこく「疑われていると思いますか?」や「犯人に心当たりは?」「彩香ちゃんが邪魔だったのでは?」などと聞いていました。でもこのインタビューを逮捕前に見ていたとしたら?今日見たときと同じ感想を、絶対抱いていなかったと思います。

多分、このインタビューを逮捕前に見ていたら、「なんて一方的な報道なんだ」と思っていたでしょう。今日見た時点では、「前から犯人の面は割れていたんだぁ~」なんて軽く思ってしまいました。

報道は見る人によっても伝わり方は違ってきます。私は被疑者が本当に犯人なのか強く疑う傾向があるみたいです。部外者01さんが仰っていた様に『推定無罪』の考え方が出来れば良いのですが、やはり犯人探しをしてしまう時点で、まだ私には難しいと感じました。みなさんにはこう言ったものはないですか?非常に意見が気になります。
私は一言で「客観的な報道をするべきだ」とコメントに書いてしまいましたが、客観的な報道もその時の見方によれば人それぞれだと思います。
実際、この時のリポーターは「沢山話をしてきて、この人が逮捕された時はビックリした」と話していました。(リポーターが感情移入しているのも問題だとは思いますが・・・。)

《番組データ》
番組名/スッキリ!! 日本テレビ系/月曜~金曜8:00~9:55放映/司会 加藤浩次・テリー伊藤・阿部哲子/

【森 智徒勢】

「近所の女性の」第一報 2006-06-06

前回は「プライバシーと推測・憶測が視聴者に与える影響」について考えてみましたが、今日は「近所の女性の第一報」が入ったときの事を考えてみたいと思います。

まず、この「近所の女性」に任意同行を求めたと言うニュースは日曜日(4日)のお昼のニュースで各局とも一斉に報道し始めた。その時はまだ任意同行の時点だったので、名前は出ず「近所の女性」と言う表記で、女性の映像にもモザイクがかかっていた。私が見た番組は以下の通り。
フジテレビ『産経テレニュースFNN』 TBS『JNNニュース』 テレビ東京『TXNニュース』

報道された概要は以下の通り。
・秋田県の小1男児殺人事件で近所の女性(33)が任意同行を求められた。
・警察は顔見知りの犯行だと当初から捜査
・以前、インタビューで犯行を否認(TBS/テレビ東京)

この概要は3社とも共通していた。それに加え各社とも近所の女性が住んでいるであろう場所を映し出していた。このニュースを見た瞬間、私はすぐに「近所の女性」が誰だか認識する事ができた。なぜか?それはこの女性の自宅の映像が以前から使われていたものだからである。また以前インタビューに応じ、犯行を否認している事からも容易に想像できる。

逮捕される前だと法律の関係上(詳しいことは分りませんが)モザイク画像で、名前も「近所の女性」と言う表記しか出来ないが、そんなことをした所で視聴者が「近所の女性」の正体に気づかないと思うのだろうか?事件が起こった当初はあんなに派手に報道していた割に、全く報道しなかった日も有った。もうひとつ正体に気づいた理由には、週刊誌が大々的に今回の加害者の報道を続けていた点も上げられる。
またフジテレビでは、加害者が任意同行を求められた時点で近所の住民にインタビューをし「近くの人で残念。」と言う話を放送している。まだ任意同行である。逮捕されたのではない。

モザイクをかけるのは法律があるからだろうか?名前を出さないのは法律で決められているからだろうか?しかし、そんなことをしても視聴者にバレてしまうならば意味がない。今回はこの「近所の女性」は加害者であったため逮捕されたが、もし冤罪の時にはどうするのか?
また、週刊誌は堂々と「彩香ちゃんの母親の評判」を載せていたが、テレビ局が規制している中でこんな記事を載せては、規制の意味がない。今日の朝日新聞の「放送被害、どう防ぐ」という記事にも書いてあったが、テレビ局・新聞・雑誌と分けるのではなく、共通に何か策を施さないと意味がないと思う。

日刊スポーツのブログにこのような記事が載っていた。
権威のある人だか知らないが、この記事の書き方はあまりに偏りすぎている。唖然とした。


《番組データ》
番組名/産経テレニュースFNN フジテレビ系/日曜11:50~放映/キャスター 藤村さおり
番組名/JNNニュース TBS系/日曜11:30~放映/
番組名/TXNニュース テレビ東京系/日曜11:25~/

【森 智徒勢】

秋田小学1年殺人事件の報道/プライバシー 2006-06-06

今日から一週間、ブログを担当する森 智徒勢です。よろしくお願いします。
一週間書き込みのテーマは『秋田小学1年殺人事件の報道』についてで、今日はプライバシーと推測・憶測が視聴者に与える影響を考えて見たいと思います。

みなさんご存知かとは思いますが、秋田県の小学1年米山豪憲君(7)が殺害された事件で「近所の女」が逮捕されました。この「近所の女」が、マスコミが終始注目していた水死女児の母親でした。
まずは、今朝の各局の報道を検証し、私なりに問題点を挙げて見ました。
(『日本テレビ系・スッキリ!!』『フジテレビ系・とくダネ!』『テレビ朝日系・スーパーモーニング』)

1.加害者の生い立ちを中心に報道→加害者のマイナスイメージの固定
この点は3番組とも同じ傾向でした。まず、加害者に離婚経験があり、また借金もあった。3年前から定職についておらず、以前はパチンコ店で働いていた。また『スーパーモーニング』では加害者が破産宣告をしようとしていたのではという近所の人の話も伝えています。『とくダネ!』では、加害者が水死した長女にご飯を作っていなかったという報道もしています。(同様の事が週刊誌にも掲載。)

この時点で、3番組とも加害者に負のイメージ『離婚・借金・無職』を与えています。
さらに『とくダネ!』の「加害者が水死した長女にご飯を作っていなかった」という報道は、豪憲君殺害だけでなく、長女の死亡原因に何らかの関係が有るのではないかと視聴者に暗に示しています。
これはあくまでも加害者の生い立ちや生活状況であり、現在までにハッキリしていない殺害の動機ではありません。が、このような加害者の負の生い立ちは、視聴者に「動機」がこの3点(離婚・借金・無職)に深く絡んでいると思わせやすい情報です。

2.近所の話→憶測・推測をさせ、情報が独り歩きし始める 
また『とくダネ!』では「共犯者がいたのではないか?」「水死した加害者の長女に保険金がかけられていたのではないか?」という情報が伝えられています。が、あくまでも「推測ですが」という前置きがされています。

よく話の流れや取材の状況から、番組内ではコメンテーターや司会者が推測を話すことがあります。しかしあくまでも推測は推測であり、事実ではありません。しかしテレビで報道された事は、推測であろうが憶測であろうが、視聴者は鵜呑みにしてしまうのが現実です。特にこの場合、長女の死亡理由にも疑問を与えるどころか、視聴者に「加害者が殺めたのではないか?」という見方を与えかねません。

上記のように、マスコミはまだハッキリしない動機を探そうと、加害者の生い立ちや粗を探し放送することが常套手段となっています。しかし、これが動機につながるのでしょうか?動機が明らかになっていない現在では、単なるプライバシーの侵害と言っても過言ではないと思います。

また、この放送が客観的な放送なのか気になり(NHKが客観的報道をしているのかどうかは別として)、NHKの『ニュースウオッチ9』も見てみましたが、被害者加害者の負として伝えられたのは『離婚をしてから長女と二人暮らしだったこと』と『3年前から定職についていない』ことでした。さらに加害者の負だけではなく、長女の死亡理由に疑問を持ち目撃情報を求めていた事や、警察に掛け合ったことなど『母親の顔』も伝えられていました。(他に大きな事件があったので、小さく伝えられていましたが・・・。)

警察発表をそのまま放送するだけなら報道など必要ないのかもしれませんが、まだ事実とわからないことを報道する必要がどこまであるのか?「憶測・推測」と前置きすれば何でも話すことが許されてしまうのか。テレビや週刊誌の情報を鵜呑みにしやすい視聴者や読者に対して、すべてを伝える事が得策だとは私は思いません。

初日から長くなってしまいました。

《番組データ》
番組名/スッキリ!! 日本テレビ系/月曜~金曜8:00~9:55放映/司会 加藤浩次・テリー伊藤・阿部哲子/
番組名/とくダネ! フジテレビ系/月曜~金曜8:00~9:55放映/キャスター 小倉智昭・笠井信輔・佐々木恭子/
番組名/スーパーモーニング テレビ朝日系/月曜~金曜7:30~9:55放映/司会 渡辺宜嗣・野村真季・鳥越俊太郎/
番組名/ニュースウォッチ9 NHK/月曜~金曜21:00~放映/司会 柳澤秀夫・伊東敏恵・青山祐子・平井信行/

【森 智徒勢】

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●ブログ開設は2006年ですが、1999年からマスコミ演習、マスコミII、放送特殊研究Vといった授業を担当しており、2005年以前のレジュメなど古いものも置いてあります。(坂本 衛)